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「美味しい方程式」

amazon料理本である。ボクは料理本はたくさん読むがめったに取り上げない。新鮮な視点が決定的に欠如しているものが多いからだ。でもこの本は違う。レイアウトも画期的に素晴らしいが、それよりも中身に感心した。
この本が他の料理本と一線を画すのはその「方程式」というコンセプト。西麻布の名店「分とく山」の主人である著者は、料理という手品の種を至極シンプルに読者に披露してしまう。舌の経験を必要とする調味料の比率を「8:1:1」という風にあっさりと提供してしまうのだ。まず基本にこれさえ覚えれば応用はこうこう簡単です、ってな具合。その単純な構図がまず新鮮。権威的でなくまことに賞賛に値する。
そしてそれ以上に素晴らしいのは、核家族化により日本から消えてしまった「おばぁちゃんの味」(つまり口伝による料理文化)の連環をこの方程式によって取り戻そうとしているのではないか、ということ。
いや著者がはっきりそうと書いているわけではないが「こうやって調味料の塩梅をしっかり覚えてほしい。日本の文化として残して欲しい」という切実な願いをボクは感じる。受験世代・マニュアル世代が理解しやすいように翻訳された、これは「おばぁちゃんの味」の現代風「口伝」なのだ。
1997年07月01日(火) 12:00:00・リンク用URL
@satonao310