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LV5「一九七二」

坪内祐三著/文藝春秋/1800円

一九七二―「はじまりのおわり」と「おわりのはじまり」
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著者に指摘されるまで意識もしなかったが、確かに1972年というのは時代の変わり目だ。前書きにも書いてあるが「はじまりのおわり、であり、おわりのはじまり」なのだ。ここまで顕著に時代の境目ってあるのね、とまずそれにビックリした本である。

1972年に何があったか、例をいくつか上げよう。
札幌オリンピック。連合赤軍浅間山荘事件。横井庄一グアム島で発見。沖縄返還。佐藤栄作引退。田中角栄「日本列島改造論」発表。「四畳半襖の下張」発表。日本プロレス中継終了。「ぴあ」創刊。日中国交回復。カンカン・ランラン到着。ローリングストーンズ幻の初来日。森昌子新人賞……まぁ詳しくは本書をお読みいただくとして、これらひとつひとつの事件がすべていろんな事象の境目になっているのである、という分析を細かく緻密に著者は書いていく。
それらがこじつけに感じられないのは著者の筆力のおかげでもあるのだが、実際そうなのだろうと納得が行くもの。1972年あたりに中学高校大学を過ごした人たちには実感をもって「あぁ、あそこが曲がり角だったのか」と肌感覚でわかることだろう。個人的には浅間山荘前後の記述の掘り下げ方が少々くどいもののいろいろ発見があって面白かった。

ちなみに坪内祐三の本は読後感がいつも尻切れトンボである。
彼自身三部作と言っている「靖国」「慶応三年生まれ七人の旋毛曲り」そしてこの「一九七二」もその感があり、厚さを倍にしてもいいからキレイに満足させてほしいと読後に思った(この本も400ページ超でいい加減長いのだが)。きっと著者としても収拾つかなくなっちゃうのだろう。テーマも素材も膨大ゆえに。

2003年08月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ノンフィクション , 評論

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