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「慶応三年生まれ 七人の旋毛曲り」

amazon約550ページの労作。
「大」労作になるはずだったのに、途中で著者自身飽きてしまい、尻切れトンボで終わっている。それでも労作ではあるのだが、置いて行かれた読者はどないすればいいねん、って感は残る。
慶応三年に7人の偉人が生まれている。
夏目漱石、正岡子規、尾崎紅葉、幸田露伴、斉藤緑雨、宮武外骨、南方熊楠。
彼らの人生をそれぞれ並列に追うことで、近代日本の歩みを解き明かしていこうという野心作で、目の付け所は素晴らしいのだが、どうにもこうにも構造上散漫になっていくし、膨大な原文資料を読み解いていくのが難解であるし、7人という多人数を並列に追う無理が途中からモロに出て来ちゃっているし、緑雨や熊楠はあまり登場しないし、盛り上がりなく時系列的に平坦に読んでいくのが(読者的に)だんだん苦痛になってくるし、で、まぁなんというか、労作なのだが、辛い本になっちゃっているのが残念。
個人的には尾崎紅葉の実際みたいなものが知れたのが収穫。面白いエピソードも多数あり、文学史的にはいい本かもしれない。
でもなー、破綻しちゃっているよなー。著者の筆力ははなはだ評価しているが、ここまでの本を書くのには、少しタイミングが早すぎたのかもしれない。もっと筆力がついてから書いてほしい題材であった。とても期待しただけに、残念。
2001年10月01日(月) 12:00:00・リンク用URL
@satonao310