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「にんげん住所録」

amazon名人高峰秀子の最新作。
相変わらず読んでいて気持ちよく、自然と「足るを知る」気持ちにさせるエッセイ。そろそろ著者の本も読めなくなるだろうという気もしており(知り合いの担当編集者が「これが最後かもしれません」と言ってたし)、読み終わるのが惜しかった。
正直言うと、いままでの著者が書いた名エッセイ群に比べるとちょっと切れ味が落ちる。でも彼女のエッセイを楽しみにしている常連読者たち(ボクを含む)にはそんなこと気にもならない。だって、ちょっと低調とはいえ、そこらのエッセイの数倍は面白いから。そして、今この歳になったから書けるいろいろな総まとめが哀しくも美しいから。ファンとの交友を綴った「住所録」、黒澤明のことを書いた「クロさんのこと」、木下監督のことを語った「私だけの弔辞」など、淡々としながら、読んでいる側が思わず背筋を伸ばしてしまうような名エッセイの数々。ぜひゆっくり味わって欲しい。
高峰秀子の本を読むたびに、持ち物少なく思い出も少なくきれいに老いたい、という気持ちに満たされる。そして現在の身の回りの複雑さ・煩雑さを顧みて、自分の至らなさにがっくりくる。ボクは彼女のようにきれいに老えるだろうか。5年ごとに再読して確かめたいエッセイ群である。
2002年11月01日(金) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:エッセイ
@satonao310