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「コンセント」

amazon田口ランディは初読。
あれだけ話題になっていたのに手に取らなかったのは、なんというか、「エロス的な異化」や「ネット的な異化」や「引きこもり的な異化」で作品に思わせぶりな奥深さを与えようとする類の作家なのかな、と勝手に思っていたという理由が大きい。
でも今回読んでみて、それは単なる先入観であったことがわかった。著者はそれらを思わせぶりに異化してはいない。それどころか全く逆である。ただそれはいい面ばかりではなく、例えばエロスという「官能」を論旨が明快な「感応」に収束してしまった点をとっても、ちょいと全体に理屈が勝ってしまったきらいがある。破綻なく隅々まで理屈のあった、よく出来たお話になりすぎた感じ。その妙に収まりがいい感じがボクにはわりと快感であったが、それがこの物語を狭くもしていると思う。感心はするが感動はしない。そんな印象。
でも、感心する描写や感心するストーリーテリングは随所にある。それだけでも処女作としてはすごすぎる。
冒頭からしばらくはちょっと自意識過剰的表現で居心地悪いのだが、中盤から素晴らしい展開を見せていく。結末に向けてのシャーマニズムのとらえ方に既視感があり(吉本ばなな的)、そこに新しいシャーマニズムが展開されていればもっと面白かったと個人的には思う。
ずっとこんな感じで頭のいい小説を書いていっちゃうのかなぁと不安にはなるが、処女作としては傑作。もうちょっと頭の良さが前面から引っ込むとグンと良くなる気がするが、いい部分も失われてしまうのかな。ドロドロした話なのに、読後感が精緻な建築物を見た感じに近いのが、長所でもあり欠点でもある、そんな印象。
2002年01月01日(火) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:小説(日本)
@satonao310