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「ダイスをころがせ!」

amazon選挙小説、とでも呼ぼうか。
久しぶりに読んだ真保裕一だが、相変わらずテンポよく熱く痛快。「奪取」で感じた軽快感が帰ってきた印象。選挙に出馬する友とそれを第一秘書として助けるリストラされた主人公を追いながら、大人になりきれない青年男女たちが大人になっていく物語をそこに上手にかぶせた。
作家の志として、国政参加を小説という形で取り上げ呼びかけたのはよくわかるしめちゃめちゃ評価したい。底流には「○○のせいとか嘆いてばかりいないで、参加しようぜ」という著者本人の熱い憤りがあると思う。それがこのテーマを選ばせ、熱く書かせたのだろう。題名もそこから来ている。とにかく手持ちのダイスをころがそう、と。政治の現状の説明などもくどいくらい入れ込んであり、エンターテイメント小説として読むと冗長なのだが、一種に啓蒙小説として読むと意図はよくわかるのである。
ただ、キャラやエピソードや他陣営との確執(ミステリー的な部分)が、すべてにステロタイプ的なのが残念。取材はよくされているのだが、表面的にストーリーが展開していくだけで、深みが足りない気がする。キャラがひとりふたり、もう少し深く描き込まれていたら、ずいぶん変わったのだと思う。とても面白く、志も高い本だけに、惜しい。
2002年03月01日(金) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:ミステリー
@satonao310