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「ナイフ」

amazonなぜか著者の本を敬遠してしまっているボクであるが(「定年ゴジラ」しか読んだことなく、しかも最高点にしてるのに)、その理由がこれを読んでわかった。時代の切り取り方やリアリティの出し方、泣かせの持って行き方などが予想ついてしまうのだ。つまり、たぶんボクと感じ方が非常に近いのだろう。同年代ということもあるかもしれない。
で、著者は必ず「励まし」をテーマのどこかに潜ませるのだが、その潜ませ方もとても「わかってしまう」。で、照れてしまう。落ち着いて読めなかったりする。でも感心してるしうまいなぁとも思っている。でも照れてしまう。そんな感じ。わかる?
帯に「重松文学、初期の大傑作」と二重三重に持ち上げてあるが、初期にさりげなくこのような短編を書ける筆力はやっぱりたいしたものだ。
家族のそれぞれの気持ちに寄り添いながら丁寧にその想いを紡いでいっている短編集。リアリティも会話の上手さも少年少女の気持ちへの寄り添い方も、それぞれ一流。「ワニとハブとひょうたん池で」「ナイフ」「キャッチボール日和」「エビスくん」「ビタースィート・ホーム」の5編それぞれ、こうして表題を書くだけで筋やニュアンスが頭に思い浮かぶ。つまりそれぞれとても印象的なのだ。
オススメ。とてもいい。けどボクはこれからも重松作品はそんなに読まないかも(「小さき者へ」を買ってあるのでこれは読むが)。微妙な気持ちで説明しがたいのだが、こういう芸風から脱却した後の彼を読みたい。
2002年12月01日(日) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:小説(日本)
@satonao310