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重松清

LV3「小さき者へ」

重松清著/毎日新聞社/1700円

小さき者へ
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先月も書いたが、重松清は好きだけどあまり読みたくない。これも買い置きしてなかったら読まなかったかも。でもやっぱりこういう家族短編ものはうまいなぁ。どちらかというと先月読んだ「ナイフ」の方が数倍印象的だが、これはこれでちゃんと面白い。

全体にあざといと感じる部分も多い。
たとえば表題作「小さき者へ」。引きこもり&家庭内暴力に荒む息子への父からの手紙の形式をとっている。難しい題材だと思うし難しい方法で敢えて書いたんだなとも思うが、泣かせに入った部分があざとくてボクはちょっとついていきにくい。リアリティももうひとつ。同じようなあざとさを感じる部分が他の短編にもあり、読んでいてそこらへんが照れくさくなるので、ちょっとつらい。

ただ、浅田次郎がそうだったように著者もほぼ確信犯なので、これはボクがどうのこうの言う部分ではないだろう。ちゃんと読者を泣かして明日への勇気を与える。その目的は果たされていると思う。つか、泣いたし(笑)。収録短編の中では「団旗はためく下に」が特に泣ける。ここの中で書かれている「応援ということの意味」こそ、重松清の執筆姿勢なのだと思う。そう言う意味で著者にとっての重要作かも。

2003年01月01日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(日本)

LV4「ナイフ」

重松清著/新潮社/1700円

ナイフ
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なぜか著者の本を敬遠してしまっているボクであるが(「定年ゴジラ」しか読んだことなく、しかも最高点にしてるのに)、その理由がこれを読んでわかった。時代の切り取り方やリアリティの出し方、泣かせの持って行き方などが予想ついてしまうのだ。つまり、たぶんボクと感じ方が非常に近いのだろう。同年代ということもあるかもしれない。
で、著者は必ず「励まし」をテーマのどこかに潜ませるのだが、その潜ませ方もとても「わかってしまう」。で、照れてしまう。落ち着いて読めなかったりする。でも感心してるしうまいなぁとも思っている。でも照れてしまう。そんな感じ。わかる?

帯に「重松文学、初期の大傑作」と二重三重に持ち上げてあるが、初期にさりげなくこのような短編を書ける筆力はやっぱりたいしたものだ。
家族のそれぞれの気持ちに寄り添いながら丁寧にその想いを紡いでいっている短編集。リアリティも会話の上手さも少年少女の気持ちへの寄り添い方も、それぞれ一流。「ワニとハブとひょうたん池で」「ナイフ」「キャッチボール日和」「エビスくん」「ビタースィート・ホーム」の5編それぞれ、こうして表題を書くだけで筋やニュアンスが頭に思い浮かぶ。つまりそれぞれとても印象的なのだ。

オススメ。とてもいい。けどボクはこれからも重松作品はそんなに読まないかも(「小さき者へ」を買ってあるのでこれは読むが)。微妙な気持ちで説明しがたいのだが、こういう芸風から脱却した後の彼を読みたい。

2002年12月01日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(日本)

LV5「定年ゴジラ」

重松清著/講談社/1800円

定年ゴジラ
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定年者の気持ちが良く描けている小説である。
うんうん定年したらこう思うだろうなぁというリアリティが非常に感じられる。が、あまりに共感したので「ボクって定年者の気持ちが何でこんなにわかるんだろう」とちょっと不思議になり思わず奥付を見たら、この作者、なんとボクの同年代ではないか。想像力・筆力のすごさに脱帽すると共に「やっぱりボクの年代から見て書いた定年者なんだな」とちょっと納得もした。本物の定年者が読んだらどう思うか、興味があるところである。

もうひとつ面白かったのは「ニュータウン」について非常によく書けているところ。定年者という素材を借りながら実はニュータウン論を書きたかったのではないかと邪推したくなるくらいだ。
全体にとてもよく構成されていて楽しく読める。日本の社会の仕組みそのものが「定年」していく姿が浮き彫りになり、ちょっとせつなくなる。あと、主人公も「さん」づけで呼んでしまうのがなんだか新鮮でした、関係ないけど。

1998年09月01日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(日本)

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