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LV3「無名」

沢木耕太郎著/幻冬舎/1500円

無名
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あの沢木耕太郎が無名の人である実の父親の死について書いたというのだもの、読まざるをえないだろう。
でも、実はあまり期待しなかった。沢木耕太郎はある冷たい客観性を持った上で対象物に(仕事として)熱く近づいて行くときにこそそのチカラを発揮すると思うから。父が対象物というのは少し出発点がウェットになりすぎ、著者のいい部分が活かされないのではないかと予想したのだ(名作「深夜特急」も、彼は基本的に対象物に冷たい。そしてそれを熱めに書く。逆のように思っている人も多いと思うが、ボクはそう思う。まぁ時間を置いて書いたらしいのもあるかもしれないが)。

ボクの予想はある部分当たりある部分はずれた。どうも父親に対してもともとウェットではなかったようだ。だから彼の文章の良さはキープされていた。が、熱く近づくには苦しい対象物だったようで、ぐっと胸に来るチカラが全体を通して感じられなかった。たぶん著者自身、抑制を効かせることを意識していてそれが効き過ぎたのかもしれない。また著者ならではの掘り下げがいまひとつなのも不満。全体にまぁまぁ良かったのだけど、沢木耕太郎が書くならもっと何かを期待してしまう。そんな感じ。

2003年12月01日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ノンフィクション

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