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「世界は『使われなかった人生』であふれてる」

amazonいい題名である。で、題名からはわかりにくいが、実は映画評コラムを集めた本である。
「暮しの手帖」という渋くも良質な雑誌に連載中のものから30編選んだものだ。著者も書いているが、これは映画評というよりは映画に触発された著者のエッセイという感じで、映画の筋は追ってくれるが、映画に密着して話しが進むわけでもない。それがボクにはちょうどいい距離感であった。
本編に入る前の短文がいい。映画を想うとき語るとき、我々は「ありえたかもしれない人生」というスタンスをとることがよくある。ありえたかもしれない人生をそこに見るのだ。でもこの本は「使われなかった人生」というスタンスをとることでもう一歩踏み込んでいる。「『ありえたかもしれない人生』には、もう手の届かない、だから夢を見るしかない遠さがあるが、『使われなかった人生』には、具体的な可能性があったと思われる近さがある」と。で、「使われなかった人生」がいかに我々の間に溢れているかを語っているのだ(ここらへんは本文を読まないとちょっと伝わりにくいかも)。
ただ、使われなかった人生、というスタンスが30編もの映画評にきっちり活きているかと言われるとそうでもない。そのスタンスを活かした狙いのエッセイ、というわけではないのだ。題名やはじめの短文がいいだけに、そこにちょっと不満が残るのは確か。
2002年02月01日(金) 12:00:00・リンク用URL
@satonao310