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「文壇アイドル論」

amazon「どんなにいい製品でも需要がないところに供給はない。彼らがアイドルであるなら当然その背後に彼らをスターダムにのし上げたジャーナリズムと読者の存在がある。彼らがどのように語られ評され報じられたかを見ることでアイドルのアイドルたるゆえんを探ってみたかった」という意味のことを、この、ナイフの切れ味が今一番鋭い文芸評論家は書いている。
で、著者に取り上げられあっちこっちから切られまくってしまう文壇のアイドルは登場順に、村上春樹、俵万智、吉本ばなな、林真理子、上野千鶴子、立花隆、村上龍、田中康夫、なのだ。ね、面白そうでしょ?
で、実際に面白い本である。
まずアイドルがどう語られ評されたかの例を上げつつその傾向をざっくり切り分け、交通整理し、そのアイドルの本質はなんなのかを浮かび上がらせていくのである。「村上春樹ってゲーセンじゃん」「吉本ばななってコバルトじゃん」みたいな感じ。一般読者にはここらへんの「総括」が一番面白い。
が、この本は「一般読者向け」な部分と「評論家向け」な部分がある。本質を見ず時代に媚びた文芸評論を続ける評論家たちへの厳しい評価と嘲笑が裏テーマ(本テーマ)だからだ。アイドルたちを通した時事文芸評論家論でもあるわけ。このテーマがこの本を実に魅力的にしている。マーケティング的アイドル論だったら二流評論家でも出せるだろうが、斎藤美奈子ならではな部分はまさにこの、同業者へのブラック・ナイフの鋭さ具合にある。
2002年10月01日(火) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:評論
@satonao310