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斎藤美奈子

LV4「文壇アイドル論」

斎藤美奈子著/岩波書店/1700円

文壇アイドル論
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「どんなにいい製品でも需要がないところに供給はない。彼らがアイドルであるなら当然その背後に彼らをスターダムにのし上げたジャーナリズムと読者の存在がある。彼らがどのように語られ評され報じられたかを見ることでアイドルのアイドルたるゆえんを探ってみたかった」という意味のことを、この、ナイフの切れ味が今一番鋭い文芸評論家は書いている。
で、著者に取り上げられあっちこっちから切られまくってしまう文壇のアイドルは登場順に、村上春樹、俵万智、吉本ばなな、林真理子、上野千鶴子、立花隆、村上龍、田中康夫、なのだ。ね、面白そうでしょ?

で、実際に面白い本である。
まずアイドルがどう語られ評されたかの例を上げつつその傾向をざっくり切り分け、交通整理し、そのアイドルの本質はなんなのかを浮かび上がらせていくのである。「村上春樹ってゲーセンじゃん」「吉本ばななってコバルトじゃん」みたいな感じ。一般読者にはここらへんの「総括」が一番面白い。

が、この本は「一般読者向け」な部分と「評論家向け」な部分がある。本質を見ず時代に媚びた文芸評論を続ける評論家たちへの厳しい評価と嘲笑が裏テーマ(本テーマ)だからだ。アイドルたちを通した時事文芸評論家論でもあるわけ。このテーマがこの本を実に魅力的にしている。マーケティング的アイドル論だったら二流評論家でも出せるだろうが、斎藤美奈子ならではな部分はまさにこの、同業者へのブラック・ナイフの鋭さ具合にある。

2002年10月01日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:評論

LV3「文章読本さん江」

斎藤美奈子著/筑摩書房/1700円

文章読本さん江
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数多く出版されている「文章読本」というジャンル。近代以降に限っても、谷崎、川端、三島に始まり有象無象の「〜の書き方」に到るまで「文章読本界」と名前を付けてもいいくらい大量に出版されている。そしてその「業界」にいままで批評のメスを入れた人はいなかった。
そこに現れたる斎藤美奈子。奔放でクレバーな辛口書評で知られる著者が文章読本界をごめんあそばせとばかりにドシャドシャ斬って捨てる。そして斬って捨てるのみならず、じゃー文章読本とは何なのか、いや、文とは何なのか、まで突っ込んで分析していく。引用あまたの労作であるが、押したり引いたり、実に多彩なテクニックを使って、読者を飽きさせない。

なにしろこれまで出た文章読本のジャンル分け、分析、批評批判がまずよく出来ている。
で、読み進むに従ってあまりの多種多様さゆえ「文章とはいったいなんなのだよ」と読者は途方に暮れるのであるが、巻末に著者はちゃんと答えまで用意しているからスッキリする。「文は人なり」ではなく、「文は服なり」というひとつの答え。例えば文章家はこの現代に裃を着ろと説くし、新聞記者タイプはどぶねずみ色スーツの無難な服を着ろと言う。で、彼らがたまに軽妙な文章を書こうとすると、カジュアルフライデーのださいオヤジみたいになる……と、スパーッと見事に斬った挙げ句、その後の現代文章分析まで、ほんの数ページで見事にすべてを括っている。

引用が多く飽きる読者もいると思うが、文章に興味がある向きは我慢して最後までたどり着くことをオススメする。ちょっとシニカルで芳醇な時間が過ごせ、そしてそして、すべての文章読本を読了した気持ちにすらなる。そういう意味ではお得な本だ。

2002年03月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:評論

LV4「あほらし屋の鐘が鳴る」

斉藤美奈子著/朝日新聞社/1500円

あほらし屋の鐘が鳴る
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書評界で話題の人。初読。ちなみに斉藤澪奈子女王様とは別人。

なんというか、中野翠みたいな鋭利な刃物。
ただ、甘粕りりこやナンシー関、ひいては山本夏彦も少し入っている。そこらへんが著者の人気がある所以だろう(マネをしているという意味ではなくて、もとからそういうキャラであるという意味)。かなり辛口だけど自己満足的でなく実にわかりやすい分析が魅力的。サルでもわかる論理構成なのに、とっても鋭利。なかなか難しい技なのだ。

本書に限っていえば、女性誌の分析が面白い。門外漢のボクでもなぜか膝をうって納得してしまう。そのくらいは分析がツボをついている。あ、「もののけ姫」に対する考察も非常に共感できるところだったな。次は長い書評を読んでみよう。

1999年04月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:評論

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