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LV3「文章読本さん江」

斎藤美奈子著/筑摩書房/1700円

文章読本さん江
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数多く出版されている「文章読本」というジャンル。近代以降に限っても、谷崎、川端、三島に始まり有象無象の「〜の書き方」に到るまで「文章読本界」と名前を付けてもいいくらい大量に出版されている。そしてその「業界」にいままで批評のメスを入れた人はいなかった。
そこに現れたる斎藤美奈子。奔放でクレバーな辛口書評で知られる著者が文章読本界をごめんあそばせとばかりにドシャドシャ斬って捨てる。そして斬って捨てるのみならず、じゃー文章読本とは何なのか、いや、文とは何なのか、まで突っ込んで分析していく。引用あまたの労作であるが、押したり引いたり、実に多彩なテクニックを使って、読者を飽きさせない。

なにしろこれまで出た文章読本のジャンル分け、分析、批評批判がまずよく出来ている。
で、読み進むに従ってあまりの多種多様さゆえ「文章とはいったいなんなのだよ」と読者は途方に暮れるのであるが、巻末に著者はちゃんと答えまで用意しているからスッキリする。「文は人なり」ではなく、「文は服なり」というひとつの答え。例えば文章家はこの現代に裃を着ろと説くし、新聞記者タイプはどぶねずみ色スーツの無難な服を着ろと言う。で、彼らがたまに軽妙な文章を書こうとすると、カジュアルフライデーのださいオヤジみたいになる……と、スパーッと見事に斬った挙げ句、その後の現代文章分析まで、ほんの数ページで見事にすべてを括っている。

引用が多く飽きる読者もいると思うが、文章に興味がある向きは我慢して最後までたどり着くことをオススメする。ちょっとシニカルで芳醇な時間が過ごせ、そしてそして、すべての文章読本を読了した気持ちにすらなる。そういう意味ではお得な本だ。

2002年03月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:評論

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