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「和菓子屋の息子」

amazon副題に「ある自伝的試み」とあるように、著者自身の半生記でもあるが、戦前戦中の東京下町の姿を実家の和菓子屋の生活を通して具体的に活写した大変ユニークな下町文化記録本でもある。「記録目的エッセイ風半生記」とでもいうのかな。人称もどんどん変わっていくし、記録文と私小説の境が全くないのにとても自然で読みやすく、最後の方など大変叙情的でホロリとくる。
前半はその構成上カタルシスを感じにくく、著者の物としては珍しく取っつきにくいのだが、後半は実に良い。
ボクが東京育ちということも多分にあるのだろうが、読んでいてなんか愛する人が死んでしまうような感情を戦争で壊れていく東京(下町)に感じました。そうか、これは著者の東京に対する「片思い小説」でもあるのだな。
1997年01月01日(水) 12:00:00・リンク用URL
@satonao310