トップ > おもしろ本 > 著者別一覧 > >

LV4「死にたくないが、生きたくもない。」

小浜逸郎著/幻冬舎新書/720円

死にたくないが、生きたくもない。
amazon
これからの老人は引退しても大変だ。やれ経済活動に貢献せよ、やれ生涯現役でいよ、やれ長生きせよ、とか喧しい。世に健康法溢れ、いじましい「若さ礼賛」が横行している。というか、老人自身が自分を老人と認めない。あたかも「老いることは悪」であるがの如く。

そんな日本の風潮に一石投じる本である。題名がいい。まだ40代中盤のボクではあるが、なんだかわかるなぁ、と思ってしまう。長い老いへの過程のさまざまな問題点をリアルにかつ哲学的に論じながら、著者は「そうまでして生きたい?」と問いかける。長生きは素晴らしいって偽善だろ、アンチエイジングってみっともないぜ、悠々自適って本当に素晴らしいのか、など、いろんな問題提起もしてくれる。その上で「老いることの利点」にも言及していく。

まぁある意味哲学書なので「結論を言い切った本」ではない。問題提起され、一緒に考えていく本である。その点少し物足りない人もいるかもしれないが、新しい視点はしっかり与えてくれる。また、中年世代的には「老いをリアルに想像してみる」いい訓練になる本かもしれない。

2006年12月25日(月) 12:18:41・リンク用URL

ジャンル:哲学・精神世界

LV5「テレビの黄金時代」

小林信彦著/文藝春秋/1857円

テレビの黄金時代
amazon
テレビの黄金時代を主観・客観双方からきっちり眺められるのはこの人しかいないかもしれない、と思わせる著者が書いたテレビ青春記。
テレビ番組作りに濃く参加しつつ雑誌を運営し、常にテレビ界とは距離を置いていた著者だからこそ書けるテレビメディア史でもある。そしてもちろん、お笑い芸人やバラエティを見る著者の目も当代一流。そんな人が書いたテレビの本だもの、おもしろくないわけがない。

ある意味、テレビ番組発達史として貴重な文献でもあるが、ここは素直にアマチュアの集まりだったテレビ創成時代〜黄金時代を読み物として楽しみたい。特に九ちゃんを作っていく過程やバラエティに命をかけた男たちの物語が面白い。番組をどうやって作ってきたか、人間模様はどうだったのか、顧みて今のバラエティはどうなのか、など、興味は尽きない。ボクよりちょっと上の世代(リアルタイムでテレビ創成時代を見ている世代)には特にたまらない記述が続くだろう。

贅沢言うなら、写真をもう少し入れて欲しかったかな。シズル感が全然違っただろう。1857円という定価だもの、写真くらい欲しい感じ。

2003年01月01日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:映画・映像 , 評論

LV2「恋する料理人」

小山裕久著/講談社/2200円

恋する料理人
amazon
徳島、そして東京の日本料理店「青柳」「婆娑羅」「basara」の総料理長として著名な著者の料理エッセイ。別に彼の恋物語が書いてあるわけではなく、料理に恋した料理人の現段階での総決算的エッセイという感じだ。

そう、総決算と取れるのは、かなり自信に満ちたエッセイだからだ。謙虚な料理エッセイが多い中、異例と言ってもいいくらい自信に満ちている。自分は料理技術的に頂上にいるんだということをそろそろ表明してもいいでしょ?的スタンスで書かれている。日本人的にウェットに読むとこれはかなり嫌味だが、ドライに読めば、だからこそ面白いということになる。両面あるなぁ。ただ、自信を前面に押し出した料理は、客のための料理ではなく自分のための料理であることが多い。文章もまたそういう面はあるだろう。客(読者)のために心を尽くされた感はあまりなかった。でも面白いことは面白い。だって頂上の人では確かにあるから。

いくつか共感した一節がある。例えば「一年中あらゆる野菜が溢れ、旬がなくなってさみしいということがよくいわれます。しかしそれは間違いだと思うのです」という一節。わりとボクも同じことを考えていた。四季を通じてさまざまな野菜に出会えるのは、昔を考えればバラダイスであるよね。

2002年02月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:食・酒

LV1「ここまできてそれなりにわかったこと」

五味太郎著/講談社/1200円

ここまできてそれなりにわかったこと
amazon
人間を2000年やってきてそれなりにわかったことを150項目、五味太郎本人の絵と共に独自の観点であげた大人の絵本。
五味太郎の絵本はシンプルかつハズレが少なくて好きだが、この本は妙に複雑で(シンプルでない)、かつ、風刺とシャレが中途半端で、絵もいまいち可愛くなくて、うーん、ハズレかなぁ。

もちろんちゃんと納得も散りばめられているし、最後まで読み進むと「わかってないことの多さ、わかったことの意味のなさ」もわかってきて、結局わかってもわからなくても大差はないということがわかってくる、という秀逸な構成になっていたりするのだが、その構成自体がすでにわかりにくい。わかりにくいと言えば、特に文章がわかりにくい。一読でわかりにくいレトリックや漢字を多用していて、絵本作家らしくない。そうやって読者を煙に巻いているのかもしれないが(煙に巻くこと自体は嫌いではないが)、その手法は成功していない気がする。

2001年05月01日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:絵本

LV3「趣味は佃煮」

小町文雄著/光文社知恵の森文庫/514円

趣味は佃煮―ある大学教授の「無趣味」からの脱出
amazon
副題は「ある大学教授の『無趣味』からの脱出」。
無趣味だった大学教授が佃煮をはじめとする乾物系珍味製作にはまっていく様子を飄々と書いている。この飄々さ加減が、予想外に面白く、わりと楽しめた。

こういった本はありがちで、だいたいが自慢に終始するのだが、この著者の自慢は嫌味にならないし、自慢自体もそうはしていない。だから楽しめたのだろう。林望や玉村豊男など、自慢上手はいろいろいるが、自慢すること自体を著者自身が笑っている感じがどの著者にも共通して言えるうまさなのだろう。この著者も結局自分を笑う技術に長けている。
佃煮をはじめこの本に出てくるもろもろのレシピは、ちょっと作ってみたくなるものばかり。ただ、干物にするには空気が悪すぎる環境にいまボクは住んでいるので、そういう系統は出来ない。残念だ。

2000年09月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:食・酒 , 実用・ホビー

LV2「私は臓器を提供しない」

近藤誠・中野翠・宮崎哲弥・吉本隆明ほか著/洋泉社y新書/660円

私は臓器を提供しない
amazon
「ドナーカードに承諾のサインをしなかったら、それは人道にかなわないことになるのか」というテーマのもと、「私は臓器を提供しない」という立場をとる執筆者が集まり、それぞれの論を展開し、読者が自分の立場を選択するための材料提供をしてくれている新書。

企画とてもよし。執筆者まぁまぁよし。ヒューマニズムという美名のもと「なんとなくいいこと」と思われ押し進められている「臓器提供」をもう一度考え直すきっかけになる。

が、どうも読後感が散漫だ。もちろん複数執筆者が好き勝手自分の意見を書いているだけなのだから散漫になるのは仕方がないし、いろんな切り口でこの問題を切っていこうという編集方針も正しい。ただ、ことは「死とはなにか」という根本的問題にぶちあたらざるをえないため、それぞれの執筆者の死生観が中途半端な枚数で中途半端に語られてしまう。それがこの本をとても居心地の悪いものにしている。もうちょっと執筆者の数を絞って(10人書いている)、じっくり書かせてみてもよかったのではないだろうか。
個人的には橋本克彦による論の展開が一番しっくり来た。そう、そうなのだ。肉体にも自我は宿っているのである。うん。

2000年05月01日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:健康 , 科学 , 評論

LV1「もてない男」

小谷野敦著/ちくま新書/660円

もてない男―恋愛論を超えて
amazon
ああ、この本って評判いいんですよね。「本の雑誌」では99年ベスト10の3位に入っていたりする。
でもなぁ。だからなーに?って感じがぬぐえない。確かに新たな恋愛論ではあると思うし、ある切り口を読者に提供&再認識させてくれている。ただ、論文とエッセイの間的な中途半端さや、いろんな本からの引用で論を進めているあたりの持って行き方がちょっとどうかと思う。こういう論は自分の言葉でこそ読者の目を開かせて欲しいのだ。赤裸々な書き方、イコール、本質をついている新しい視点、ではないと思う。

途中の赤裸々な性表現なども(別に上品ぶったりイイコぶったりするわけでは全然ないのだが)露悪的でそんなに感心しない。ああいう直接表現をあんまり使わずに展開してくれたらまた違ったのに、と思う。論文ならそれでもいい。でも著者本人はエッセイと位置づけている。うーん。ちょっと中途半端な気がした。なんでこんなに世の中に受けているんだろう。

2000年01月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ

LV1「恋」

小池真理子著/ハヤカワ文庫/680円

恋
amazon
直木賞受賞作。

前から読もうと思っていた本だが…、ボクには合わなかったようだ。つまらなかった。そうか、これが巷で言う「小池文学最高峰」なんだ、とか思ってしまった。

明治時代の小説を読んでいるような古くささがあったのは何故だろう。
浅間山荘事件前後の時代をシチュエーションとしてわりと描きこんでいるわりには、その頃の昭和の気分が浮かび上がってこない。恋自体の内容もどこかシンパシーを感じにくいもの。結末の付け方もいまひとつのらない。エピローグはわりと好きだが、でもなー、なんだか全体にもうひとつだったのだった。著者をこれだけで判断するのはなんなのでもうちょっと読んでみたいが、でもやっぱりボクには合わないままな気がする。

1999年10月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(日本)

LV1「灰に謎あり」

小泉武夫著/NTT出版/1500円

灰に謎あり―酒・食・灰の怪しい関係
amazon
沖縄の本を書いていて(「胃袋で感じた沖縄」さとなお著/コスモの本/1500円/6月20日頃発売)、沖縄そばの項で「灰汁」の不思議にぶちあたった。

それで灰に興味を持って、本屋で見つけた本がこの「灰に謎あり」。
灰と生い立ち、灰と料理、灰の恵み、灰の効能、灰の恐怖などなど、灰にまつわることをかなりの専門性をもって追っており、昔から人はこんなに灰に関わって生きてきたんだなぁ、と感慨を持つことは持つのだが、それ以上でもそれ以下でもない。研究論文とエッセイの中間の中途半端さも手伝って、なんだか物足りない。読んでいて快感がないのは題材が地味なせいかな。よく調べて書かれてはいるのだが…。

ちなみに「沖縄そばと灰汁」についてはまるで触れていなかった。そのことも個人的には残念。

1999年06月01日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:食・酒 , 雑学・その他

LV1「戦争論争戦」

小林よしのり×田原総一朗著/ぶんか社/1500円

戦争論争戦―小林よしのりVS.田原総一朗
amazon
田原総一朗の「仕切能力だけで論を展開する技術」が白昼のもとにさらけ出されてしまう様がかなり恥ずかしい一冊。

自分が展開したくない方に話が行くと、「それは違う!」と大声で発言を遮ったり話題をめちゃ強引に変えてしまったりする。その技術に乗せられてしまう小林よしのりはオコチャマに見えてしまうくらい人が好い。いや、わざとでも乗せられとかないと単にケンカになるだけか…。田原総一朗は別に好きでも嫌いでもないが、誰か言ってやれ、大声戦法で議論に勝とうとしている時点でそれは戦争肯定なんだ、と。声を使うか武器を使うかの違いだけじゃないか。

内容的には近代史を勉強し直したくなる一冊、ってところかな。まだボクは戦争に対する自分の意見が確立していないから(そろそろ確固たるものを持たないとなぁ)、そういう意味では参考になった。

1999年04月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:時事・政治・国際 , 対談

LV1「結婚恐怖」

小林信彦著/新潮社/1200円

結婚恐怖
amazon
題名がいいし、何と言っても小林信彦だから即買って読んだ。
でも、期待が大きすぎたのか、ちょっと拍子抜けだった。
こういう内容ならこんなスキャンダラスな題はいらないかもしれないとちょっと思った。結婚という生活形態についての突っ込みも中途半端だし(もっと著者特有の視点で突っ込んでくれるのかと思った)、サスペンスとしても盛り上がりに欠ける。著者ならではの切り口、展開、余韻がない。
小林信彦に読者はもっともっとクレバーでアナーキーなものを期待する。この人らしくない長編小説だった印象。

1997年12月01日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(日本)

LV3「おいしい水の探求」

小島貞男著/NHKブックス/825円

おいしい水の探求
amazon
この前牛乳についての本(「日本の牛乳はなぜまずいか」)を読んだから、今度は順序としてやっぱり水だろう、って感じで気軽に読み始めたのだが、これはなかなか味のある本で思わず熟読してしまった。
まぁおいしい水道水をつくるための技術論に終始するのだが、わりと趣があって堅苦しくなくスルスル読める。
「おいしい水(おいしく感じる水)」そして「水道水の仕組み」について知りたい方は必読ですね。なんだか不思議な雰囲気の本。著者の器かな。

1997年11月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:食・酒

LV5「骨の髄までうまい話」

古波蔵保好著/新潮社/1300円

骨の髄までうまい話
amazon
いろんな「うまい話」のオンパレードである。
ボクもささやかながら「うまい話」をホームページに載せていたりするから、その描写の難しさはわかっているつもりである。うまい、というのは結局とても個人的な体験だから、共感を得るというのは意外と大変なのである。
だからこそ言うが、まったくこのコバクラという著者は上手だ。うまい話がうまい。舌を巻く。小心でワンパターンの食評論家たちの文章とは一線も二線もかくす格調の高さ。そして適度の下品さ。まずい飯を食うなら一食抜いてでもこの本を味わうべし。

1997年10月01日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:食・酒

LV1「ぼくが料理人になったわけ」

小林充著/TBSブリタニカ/1800円

ぼくが料理人になったわけ
amazon
月刊「料理王国」の連載の単行本化。

道場六三郎、高橋徳男、井上旭、中村勝宏、片岡護など一流(と言われる)料理人を13人取り上げ、その半生をインタビューして仕上げてある。が、全体を通して散漫な印象はぬぐえない。せっかくこれだけの人達をインタビューしたのだから著者オリジナルの視点で構成し直して料理人像を浮き彫りにして欲しかった。この頃どこにでも転がっている料理人賛歌の評伝で終わってしまっている気がする。
もちろん好きな人には資料的な価値があるのだが。

1997年02月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:食・酒 , 自伝・評伝

LV5「シャボン玉ホリデー」

五歩一勇著/日本テレビ放送網/1631円

シャボン玉ホリデー―スターダストを、もう一度
amazon
副題「スターダストを、もう一度」。
テレビと日本がまだ青春していた頃の、貴重でバカ面白い記録である。テレビ創生期の名番組「シャボン玉ホリデー」。クレージーキャッツ、ザ・ピーナッツなどを中心とした、歌と踊りとギャグとコントを織り交ぜた、真のバラエティだったその番組の概要をわかりやすくまとめてある。写真も多いので資料としても一級。これを読むとテレビと日本は今や本当に年をとってしまったなぁ、と実感する。それもいい年のとり方じゃない。どちらかというと退歩しているなぁと実感させられる感じ。
昭和の証言であり、今のテレビへの警鐘であり、日本人への励ましであり、そして何より極上の青春記でもある。オススメ。ちなみに著者は「ごぶいちいさむ」と読む。

1996年03月01日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:映画・映像 , ノンフィクション

ページの先頭に戻る

メニュー

Follow satonao310 on Twitter @satonao310

satonao [at] satonao.com
スパム対策を強化しているので、メールが戻ってきちゃう場合があります。その場合は、satonao310 [at] gmail.com へ。

ページの先頭に戻る

Google Sitemaps用XML自動生成ツール