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LV5「対話篇」

金城一紀著/講談社/1400円

対話篇
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傑作。いまのところ今年一番である。
プラトンの哲学書みたいな「対話篇」という題名、そして簡素すぎる装丁が手に取るのをためらわせるかもしれないが、まだの方はぜひ。「恋愛小説」「永遠の円環」「花」の3つの短編からなっているが、それぞれ微妙にリンクして補完しあっている構成。どの短編もすばらしいし、泣ける。どれも扱っているのは死である。でも語っているのは生なのだ。高らかに生を謳い、大丈夫だよと静かに寄り添ってくれる。

映画化されるらしい「花」が特にいい。ここまで前向きに生を語り死を描き、納得させる物語も近来稀だ。ストレートすぎて照れる部分もあるが、心のどこかで「そうだ。そうなのだ」とガッツポーズをとっている自分がいる。で、ラストは涙涙。というか、こういう小説を書きたいな、と心から思った。哀しいお話なのだが、でも生きていくことを心から応援している。こういう小説こそ真の小説ではないか、とすら。

表題作にない「対話篇」がどうしてこの短編集の題名として選ばれたのかは、読めば感じられる仕組みになっている。そういえば、長く対話をしてないなと気がついた。毎日毎日薄っぺらい時間が対話なしに過ぎていく。
余談だが、ボクはリヒャルト・シュトラウスの交響詩とかをまだあまり聴いてなかった。が、この本の中の「恋愛小説」を読んでから聴き始めてみたらとても良かった。とても身近な作曲家のひとりになった。そういう効能もこの短編集にはあります。

2003年10月01日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(日本)

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