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金城一紀

LV5「FLY, DADDY, FLY」

金城一紀著/文藝春秋/1200円

フライ,ダディ,フライ
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「対話篇」を読んで金城一紀恐るべし、と震えたボクの金城一紀体験第二弾。

つか直木賞をとった「GO」を先に読めよという感じだが。まぁとりあえずコレから。「対話篇」とはずいぶん違う筆致の明るいエンターテイメントである。で、後でわかったがこの本の前作であり著者デビュー作の「レボリューションNo.3」に出てくる少年たちが深く関係している。そういう意味では「レボリューションNo.3」をもっと先に読んだ方がよかったかも。

題名見て、映画「ロッキー2(だったかな)」の中でロッキーが「WIN, ROCKY, WIN」というTシャツを着て縄跳びしている姿がいきなり思い出された。映画の中で1分と映っていない場面なのだが、なぜか印象的で覚えていたわけ。あのTシャツみたいな題名だなぁ…そんな記憶とともにこの本を読みはじめたわけなのだが、これがまた、なんつうか、まさに「ロッキー」なのだな。著者もあのTシャツの印象が強かったのだろうか、とちょっと思ってしまったくらいロッキーだった。

主人公は父親。平凡なサラリーマン。ある事件で破綻してしまった幸せな生活を取り戻すためにささやかな復讐を誓う。そしてあるキッカケで知り合った少年たちに教えを請い、体を鍛え直して自分を変え、復讐に成功するのだ。その過程が感動的。特にルーティンの象徴であったバスとの競争は涙すら誘う。うまいなぁ金城一紀。少年たちの描き方もリアリティあり楽しい。甘いとかありがちとかいう批判もあるかもしれないが、ボクはこの本、好きです。

2003年11月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(日本)

LV5「対話篇」

金城一紀著/講談社/1400円

対話篇
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傑作。いまのところ今年一番である。
プラトンの哲学書みたいな「対話篇」という題名、そして簡素すぎる装丁が手に取るのをためらわせるかもしれないが、まだの方はぜひ。「恋愛小説」「永遠の円環」「花」の3つの短編からなっているが、それぞれ微妙にリンクして補完しあっている構成。どの短編もすばらしいし、泣ける。どれも扱っているのは死である。でも語っているのは生なのだ。高らかに生を謳い、大丈夫だよと静かに寄り添ってくれる。

映画化されるらしい「花」が特にいい。ここまで前向きに生を語り死を描き、納得させる物語も近来稀だ。ストレートすぎて照れる部分もあるが、心のどこかで「そうだ。そうなのだ」とガッツポーズをとっている自分がいる。で、ラストは涙涙。というか、こういう小説を書きたいな、と心から思った。哀しいお話なのだが、でも生きていくことを心から応援している。こういう小説こそ真の小説ではないか、とすら。

表題作にない「対話篇」がどうしてこの短編集の題名として選ばれたのかは、読めば感じられる仕組みになっている。そういえば、長く対話をしてないなと気がついた。毎日毎日薄っぺらい時間が対話なしに過ぎていく。
余談だが、ボクはリヒャルト・シュトラウスの交響詩とかをまだあまり聴いてなかった。が、この本の中の「恋愛小説」を読んでから聴き始めてみたらとても良かった。とても身近な作曲家のひとりになった。そういう効能もこの短編集にはあります。

2003年10月01日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(日本)

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