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「夏化粧」

amazon石垣島を舞台にしたSFファンタジー風純文学とでも言おうか。
著者の本は短編集を読んだことがあるが、ちょっと期待はずれだった。でもこの長編はとても良かった。読後もとても強い印象。いろんな場面が瑞々しく思い出される。
物語はRPG的である。
ある島の井戸の奥に「陽」の世界であるこの世と反対の「陰」の世界がある。光と闇が逆転するその世界で7つの他人の「願い」を集めて、息子をこの世に取り戻そうとするシングルマザーの闘いの物語なのだ。7つの願いを陰の世界で集める旅……こう書くとジュブナイル小説か?と敬遠する向きもあるだろうが、筆致も展開も大人っぽいので杞憂。他人の願いを集める、というのがミソで、様々な人生がそこに絡んでき、なかなかせつないのだ。そしてラストもかなりせつない。満足して読み終えられるだろう。
敢えて言うなら題名がイマイチかなぁ。題名をここまでウェットにしてしまうと、ファンタジー好き読者が手に取らない気がする。また、内容を正確に言い当てていない。題名だけ純文学している。もうちょっと違う題名にしたらヒット作になったのではないだろうか。
2003年06月01日(日) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:ファンタジー
@satonao310