トップ > おもしろ本 > 著者別一覧 > あ > 浅田次郎 >
「活動寫眞の女」

amazon直木賞作家受賞第一作というふれ込みだが、実際には受賞する前の96年に連載していた長編である。
霊をモチーフに「哀しき人間の業」「現実という虚構」を描く手法はますます磨きがかかっており、安心して著者の世界にどっぷり浸かっていられる。こういう安心感は得難いものだ。
今回は題材である映画がまず非現実のものである上に、途中に著者自身の口上まで入り、いよいよ現実と非現実の境目を曖昧にしている。新鮮。読んでいてその浮遊感にめまいがするほどだった。ただ物語の鍵を握る女性霊への共感が薄いのが残念。もっとあれば著者の注文通り泣かされてしまっただろう。
1997年09月01日(月) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:小説(日本)
@satonao310