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「さゆり」

amazonスピルバーグがこの本の映画化権を取ったとか、全米で200万部売れたとか、とにかく話題の本ではある。
アメリカ人が芸者のことを書いた本なのだが(原題は「Memories of a Geisha」、「将軍」にあったような“ねじ曲がった日本観”みたいなものはここにはなく、日本人でもここまで精密・正確には書けないのではないか、と思わせるくらい描写は見事。これは訳者の力もあるとは思うが、とにかく祇園の芸者たちの日常が行間から匂い立ってくるのだ。
上巻は特に大傑作。芸者の回想録なのに手に汗握るとは思わなかった。下巻はそれに比べると数段落ちてしまう。エピソードの積み重ね方も雑で、主人公へのカタルシスすら消えていってしまうのが残念。またラストにかけての展開もおざなりで、上巻が面白かった分、読後はなんだかがっかりしてしまった。でも、それでもまぁ最高点だろうなぁ。
まるで日本人が書いているように、日本人にとっては常識なことを著者はまるで説明しない。あれで全米200万の読者は正確に理解したのだろうか。そこらへんが心配。あと、あの独特の祇園言葉を英語ではどう書いたのだろう。ちょっと原書を読んでみたい気分。
2000年01月01日(土) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:小説(海外)
@satonao310