イマドキのビールの売り子さんってすごいのな

2014年5月 8日(木) 7:47:30

よく野球を観に行く人(特に東京ドーム)には当たり前のことかもしれないけど。
超久しぶりに野球を観に行ったので、素直に驚かせて欲しい。

昨晩、東京ドーム「巨人 vs 横浜DeNA」のチケットをひょんなことから頂戴し、仕事帰りにふらりと出かけたと思いなせえ。

「♪重いコンダラ」の頃は巨人命だったけど、関西勤務時に阪神ファンになって以来、巨人戦とはかなり縁遠いワタクシ。
「オレなんか昔、後楽園球場で金やんが大きなカーブ投げるのリアルに見たもんね。王のホームランも長嶋の三振も、何度もリアルで見てるもんね」とか、往年のファンを気取りつつ、一塁側バックネット裏のわりといい席に着いたでやんすよ(って、何キャラ語りだよ)。

時刻は午後7時半。
試合は4回。観客も会場もいい感じに温まっていて、座席周辺はすでにビール臭い。おーオレもビールたのも。やっぱナイター(死語)にはビールだよねー。と、周りを見回したら。

たら!

いや、驚いたの南野って、なんのっていったら南野陽子だって知ってる世代はどこまでなんだとか突然思いつつ、驚いたのなんのって、ビールの売り子さん!

なに?
なんなの?
ちょっと見ない間に、どうしてこんなにアイドル系になってるの!?

折しもバックスクリーンにはAKB48が映ってる。
なんだよ秋元康の次の手は「ビールを頼めるアイドル」なのかよ?
と、思わず突っ込みたくなるクオリティの高さ。少なくともこれ面接じゃなくてオーディションで取っただろと思わせるくらいな容姿の揃い方。普通にアイドルグループ組めるんじゃ?

ま、でも、自分の中のオヤジ化が余命いくばくもないくらい進行している可能性もあるし、なにしろカクテル光線の中の出来事である、夢うつつでも仕方はない。って球場の照明をカクテル光線と呼んだ世代はいつまでなんだろうとやにわに思いつつ、でも、もっと深い驚きは次の瞬間にやってきたのである。

センターとれるなこりゃ、と思われる売り子さんが近くの通路に行商に来た。

って、でっかい荷物をしょった行商のおばちゃんが普通に山手線に乗ってた時代を知ってる世代は誰くらいまでなんだろうっておもむろに思いつつ、手を上げて、そのビールおんぶ女子をお呼びしたですよ。

おーおー、笑顔でトトトと階段を駆け上がってくるではないか。
はいはい、一杯ね一杯(指で示す)。お、横に膝をついた(ボクの席は通路脇だった)。背中にしょった生ビールサーバーからビールを注いでくれる。うんうん。そうそう。

と!
いきなり最高のアイドル笑顔で話しかけてくるではないか!

「連休はいかがでしたかぁ?(ニコッ 」

こちとら無言取引が前提でビールをお願いしとる。まさか接客されるとは思わなかったので慌てふためいた。

「れ、れんきゅ?」
「はいっ。お休みになれましたかぁ〜?」
「あ、あぁ、tがぷおpうぃあ」

「はいっ」と歯切れ良く言ったあと「かぁ〜?」と甘えてくる緩急つけたピッチングにいきなり翻弄されるバッターボックスのワタクシ。

「じゃぁ休養たっぷりですねっ!」
「う、うん、そうらね」

あー、笑顔ストレートはやいー・・・

「ビールとか、よくお飲みになるんですかぁ〜?」
「んー、まー」

かぁ〜?ってチェンジアップきたー・・・

「じゃ、またお声かけにまいりますねっ♪」
「あ、あ、あぁ、よろひくー」

ひー、どんどん追い込まれるー・・・

その女子、その後もボクの近くを通るたびに「どうですかぁ〜?」と口だけ動かしてアイドル笑顔をする。そのたびに吸い込まれるように手を上げてしまい、築かれるは凡打の山。完全試合ももうそこまでだ。

つか、イマドキのビールおんぶ女子ってみんなこうなの?
一方的なピッチングに翻弄されてるのはオレだけ?

周りを見回すと、昭和を背負ったベテランたちが大量に討ち取られていた。

隣のオヤジは違うおんぶ女子の接客でウィスキーをごっつい飲まされているし、前のオヤジ二人組は違うビール会社のおんぶ女子に盛大に貢いでいた。どの女子もただ売るだけではなく、アイドル笑顔で客といろいろ話してる。握手券があったら100枚大人買いしちゃいそうな勢いでオヤジたちがそれに食いついている。

うーん・・・さすが秋元康(違

気づいたら、くだんの女子が横でキラキラ笑ってた。

「今日はたくさんお飲みいただいて♪(ニコッ 」

今度こそ気の利いた言葉を返そうと、いい加減酔いが回った頭で考える。

目の隅に誰かが手を振ってるのが映る。
見れば、下の方に女衒のおっさんが出てきて(いや、ビール会社のジャンパー着た人なんだけど)、なにやら合図を送ってる。

瞬間、彼女から笑顔の気配が消えた。
サッと風のように通路を下がっていき、そのままうしろも振り返らず、その人について姿を消した。

ノーヒットだよ。
ノーランだよ。
ノーランズの「恋のハッピーデート」は石野真子がカバーしたんだよ。

グラウンドでは、大差をつけられた横浜たそがれの選手たちが、最後の攻撃でたそがれている。

♪あの人は 行って行ってしまった
 あの人は 行って行ってしまった

・・・もう帰らないと。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター
(株)ツナグ代表。(株)4th代表。独立行政法人「国際交流基金」理事。復興庁政策参与。公益社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。東京大学大学院非常勤講師。上智大学非常勤講師。
朝日広告賞審査員。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。
現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。
本名での著書に「明日の広告」「明日のコミュニケーション」(ともにアスキー新書)。「明日のプランニング」(講談社現代新書)
“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(光文社文庫)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。
花火師免許所持。
東京出身。東京在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園夙川芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao[a]satonao.com まで(←スパムメール防止のため、@を[a]にしてあります)。

アーカイブ

同カテゴリーの他記事