東北楽天、日本一おめでとう。〜神戸オリックスの時のことを思い出しながら

2013年11月 4日(月) 11:14:00

rakuten.jpg東北楽天ゴールデンイーグルスが優勝した。

創設9年目。
一時はパ・リーグの中でもお荷物的な球団だった東北楽天。感動的な日本シリーズ7戦のすえ巨人に勝ち(巨人もとてもいいゲームをした)、昨晩、日本一を決めた。

河北新報の号外。
いい写真だなぁ。星野監督が宙を舞う。田中将大投手も最前列。

仙台のあの人、石巻や南三陸や女川のあの人、塩竃や松島のあの人、八戸のあの人、福島や宮城や岩手や青森の、あの人あの人あの人・・・

3.11以降にお会いした東北の皆さんの笑顔が、ひとつひとつ、目に浮かぶ。

そして、この2年間で出会った様々な支援活動者たちの笑顔も、ひとつひとつ、目に浮かぶ。あいつも、あいつも、あいつも、きっと破顔して、泣きながら酒くらってるんだろうなぁ・・・


1995年。
阪神大震災の年、仰木彬監督率いる神戸オリックス・ブルーウェーブは、初のリーグ優勝を果たした(イチローもレギュラーになったばかりだった)。

大震災の年である。傷つき疲弊したあの年である。
神戸市民と選手が異様な雰囲気で一体となって、一気に優勝に突き進んだ。

当時、神戸近郊の夙川に住んでいたボクは、被災者として、当事者として、その優勝を目撃し、体験した。

もちろん、泣いた。歓喜した。
でも、そのときのことをリアルに昨晩から思い出しているのだけど、そのときボクが感じてたのは、巷でよく言われる系の「勇気をもらった」とか「癒しをもらった」とかじゃなかった。

なんだろう。なんかうまく言葉にできないんだけど、「安堵」に近い気持ちだった記憶がある。

あの大地震で、神戸という街は徹底的に壊れた。
そして、被災者であるボクたちは、日本全国からの「同情」と「支援」を受ける立場だった。神戸という小さな「点」が、全国というドでかい「面」から一斉に「同情」されている、あの不思議な感覚。

ここ、うまく言えないのだけど、なんか「日本のお荷物」になった気がしてた。
天災だから仕方ないんだけど、でも、日本全体の足を引っ張り、迷惑かけてるような、なのに「同情の目」で見られているような、なんというか「申し訳なさに縮こまるような感覚」に囚われていた気がする。

いまは長い年月が経って、東北支援も経験して、そんなこと思う必要もないのにと普通に思うけど、当事者は複雑な感情を抱えるもので。。。

そんな気分を、楽天の被災地での優勝でリアルに、そして久しぶりに思い出した。

あんとき、なんだかホッとしたんだよなぁ。。。「同情される立場からの脱却」というか、んー、「一人前に戻った感覚」と言った方が近いかもしれない。

それはボクにとって、「勇気」でも「癒し」でもなく、「安堵」に近いものだった。

もちろん、いまの東北の方々の気持ちがそうであるとはまったく限らない。
でも、あの「安堵」に近い感覚は、一生忘れないなぁ。東北の人たちが「3.11」も、昨日の「11.3」も、きっと一生忘れないのと同じように。


東北のみなさん、おめでとうございます。
そして、それを一緒に喜べる、東北に通った仲間たちもおめでとう。

ボクはあんときの「安堵」を思い出しながら、今晩も静かに飲もうと思います。

p.s.
ついでに、メジャーリーグで優勝したレッドソックス(上原浩治投手の活躍は見事だった)も、ボストン・テロという傷からの立ち直りだった。ボストン市民、おめでとう。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター
(株)ツナグ代表。(株)4th代表。独立行政法人「国際交流基金」理事。復興庁政策参与。公益社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。東京大学大学院非常勤講師。上智大学非常勤講師。
朝日広告賞審査員。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。
現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。
本名での著書に「明日の広告」「明日のコミュニケーション」(ともにアスキー新書)。「明日のプランニング」(講談社現代新書)
“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(光文社文庫)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。
花火師免許所持。
東京出身。東京在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園夙川芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao[a]satonao.com まで(←スパムメール防止のため、@を[a]にしてあります)。

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