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母校駒場東邦で登壇 〜演劇「ヤルタ会談」アフタートーク

2012年11月 5日(月) 9:00:29

ひょんなことから、母校である駒場東邦高等学校にて、パネリストとして登壇した。

渋谷にある私立男子校。六年一貫教育の中学高校である。
ボクはこの学校のことを心から愛しているが、卒業して以来33年間、訪れていなかった。最近ではフェイスブックで高校の仲間たちと数多くつながり、以前よりあの頃が身近になっているが、我ながら「33年訪れてない」という事実には改めてビックリした。同時に、人生とはそういうものでもあるな、とも思った。過去は訪れなくとも心の中に、ある。

さて現在の駒場東邦では「芸術に触れる日」みたいのがあり(昔もあったかもしれない)、中1から高3まで各学年それぞれにいろいろな行事をする。たとえば中1は末広亭で落語を聴いたらしい(すばらしいこと)。

で、高3は学校の講堂で、平田オリザ作 青年団「ヤルタ会談」を鑑賞することになったらしい。そのアフタートークにオリザさんと松井さんに呼ばれて登壇したのである。

演劇「ヤルタ会談」は、ボクはすでに2回観ているのだが、30分ほどの短い演劇だ。
そこで、オリザさんは、上演後にアフタートークを企画し、そこに「さとなおさん、卒業生なんだって?」と無理矢理引きずり込まれたカタチ。

登壇したパネリストたちが面倒くさいw
平田オリザ、松井孝治(民主党、前官房副長官)、小泉進次郎(自民党)、村尾信尚(NEWS ZEROキャスター)、そしてボク。

つか、これ、ある高校の高3だけのイベントに呼ぶようなメンツ?
ボクを抜かせばすぐテレビ番組になってしまう。いや小泉さんはテレビにほとんど出ないので、テレビですらなかなか揃えられないメンバーだ。こんな脂っこすぎる組み合わせを駒東のゆるい高3を前にやってどうするんだ? というか、ボクだけ超異質であるw(卒業生枠ではあるとはいえ)

でも、これだけの方々が高校生のために忙しい中やりくりして来てくださっていることに感動し、場違いは承知の上で、腹をくくってボクも登壇したですね。卒業生であるボクが尻込みすることはできない。それに、こういう人たちに高3で直接会えることはきっと彼らの将来になにかの化学反応を生むだろう。そんな現場にいてみたかったこともある。

さて、18歳以来、33年ぶりに訪れた母校。

建て替えてしまったこともあって当時の面影はなかったが、当時教わった渡辺先生が校長に、板東先生(当時新任熱血教師だった)が教頭になっていて、なんだか超懐かしかった。板東先生は「おー、なんとなく覚えてるよ」と、ウソかもしれないけど言ってくれた。これがどんだけ元生徒の心を揺すぶるかw

・・・ま、当時さらさらヘアーだったボクを、いま見分けられるわけないのだがw

応接室に通され、いろいろな先生と名刺交換し(なんだか不思議な感じ)、講堂に移動してまずは青年団「ヤルタ会談」を高3たちと鑑賞。

小泉進次郎さんが講堂に入った瞬間に「おおおおー」とどよめきが走ったが、続いてボクの会社の女性社員が入ったら、男子生徒全員が彼女を凝視w もう誰も小泉さんなんか見てねえ(笑) ほんと、男子校はしょーもない(笑)

で、「ヤルタ会談」。
やっぱり面白いなあ。以前に観たときの感想はこちらに。

これ、演劇としても実によく出来ているけど、高3の受験生にも最適なネタだ。
スターリンとルーズベルトとチャーチルが、実に人間くさくそれぞれの権益を語り、お互いに折衝するたった30分のブラックコメディなのだけど、このやりとりがしっかり理解できると、現代史がずいぶんすっきり頭に入ると思う。現代史のまとめに最適だ。

あと、授業にもいいと思う。
これをお手本に、興味ある史実を高校生が創作したら、すごい授業になるだろう。
現代史の戯曲を、歴史を俯瞰して一本創作するためには、現代史をきっちり整理した上で裏側を憶測しないといけない。それは相当高等な授業である。そしてそれを演じれば、今後に必要なプレゼンテーションを磨くことにも通じる。渡辺校長、板東教頭には、ぜひ前向きに検討いただきたいと思うなあ。授業形態はきっとオリザさんが相談に乗ってくれると思うし(ボクもぜひ協力したい)

観劇後、5人が登壇し、アフタートーク。

オリザさんの司会で、それぞれにまず演劇「ヤルタ会談」の感想を言う。
この時点で、松井・小泉・村尾のお三方はほとんど演説w みんな話が異様にうまい。だから面白い。最後にボクが話したけど、逆に差がありすぎて緊張しなかったな。ボクの話なんか雑談みたいなものだ。

その後、それぞれの高校時代の話をし、進路とかのサジェスチョン。そして会場との質疑応答。
3人の生徒が政治に関する質問をし、松井さんが論理的に、小泉さんがさわやかにそれに答えていく。そんなアフタートークを1時間半弱。登壇者としてとても面白かったし、なんか母校の生徒たちを誇らしく思ったな。態度も質問もみんな立派だった。必要以上にかしこまらず、自然体で接していて、とっても駒東ぽかった。

この生徒たち250人の中から、次代を担う人材がきっと生まれる。
今日のこの日がなにかしらの影響を与える。そんな確信がちょっとできたような、実にいい時間を過ごさせてもらった。

自ら振り返るに、高校時代のほんのちょっとしたことが色濃く将来に影響を与えていたりする。
この日のことが、なんとなく、少しでも彼の中の種になれば、とてもうれしいし誇らしい。大人なんて子供にほんの少しの種を残すくらいのことしかできないと思う。

ということで、楽しい午後だった。
このあと、宣伝会議でクリエイティブ・ディレクション講座を教えたが、新鮮な気持ちで220枚のスライドを2時間で話しきった。そう、全部伝わらなくても、ほんの少し、種を蒔ければ上等上等。

ちなみに、小泉進次郎さんは落語を一緒に聴きに行く仲。さん喬さんや喬太郎さんをご一緒している。村尾信尚さんは初対面。テレビより素朴で温かい印象の方だった。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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