言葉の力(英国王、そして天皇陛下のスピーチ)
2011年5月 3日(火) 9:17:40
犬連れで泊まれる温泉宿に家族&犬と来ていて、更新は一日お休みしたけど(この旅行についてはまた書きます)、前々回、前回に続き、「言葉の力」をもうひとつ。
ちょっと前に見た映画「英国王のスピーチ」。
まぁアカデミー賞作品賞を獲った作品なので観た方も多いと思うし、いまごろ感想を書いてもなぁとは思うが、ちょっとだけ。
この作品、いろんな要素が入っていて実に面白い。
英国王室の内情や戦争裏話なども興味深いが、なんといっても、英国王自身の吃音というハンデ、幼き日の虐待、父子の関係、兄弟の関係、そして史上最強の敵であり演説の大天才であるヒトラーと吃音の自分が演説で闘わなければならないという運命。そこに夫婦愛や家族愛、そしてローグとの一筋縄ではいかない友情などが複層的に重なり合って、ラストの「自分自身との闘い」に収束していく。
彼は、言葉の力で、国民を一致団結させないといけなかった。
史上最強の演説の大天才ヒトラーに対抗する演説をしないといけなかった。
でも、彼は演説をちゃんと読むことすらできない。
しかも「国王の責任」に思いを馳せるとき、必ず偉大な父(虐待した父)への思いとプレッシャーがちらついてくる。そして職務を投げ出した兄に対する理不尽な思い(被害者意識)、やるべきことをきちんとしなければいけないという自分の中の真面目さなどとも闘わなければいけない。そして国王の孤独。誰もが笑顔を向けるが、助けてくれる人は誰一人いない…。
この映画は、これらを丁寧に描きつつ、ラストのスピーチへ、ストレスを強く静かに上げていく。
ラストはほとんど嗚咽してしまったよw
偶然ではあるが、英国の国難を描いたこの映画と、日本の国難が重なった。
ピンチにおいて言葉がいかに力を持つか、この映画は教えてくれる。みな、「言葉」を胸に、苦難に耐えていく。
上手くなくていい。昂揚しなくていい。シンプルでいい。でも、心からの言葉が、必要だ。
ナショナルジオグラフィックがまとめた東日本大震災の映像(実によくまとめてある。迫真の映像が多すぎて見ると恐ろしくなる。でも必見!)のラストのラストに天皇陛下のスピーチが出てくる。
抑揚もなく煽りもない、紙に書かれた文章をゆっくりと読むだけのシンプルなスピーチではあるが、心にまっすぐに届いてくる。
被災者は励まされ、被災者以外の人の心を落ち着かせてくれる。
それは、心からの言葉である、と、我々がみな感じられるからだろう。
