映画「インセプション」を観た

2010年8月 8日(日) 16:37:46

有楽町で次の打ち合わせまで3時間強、ポッカリ空き時間ができ、マリオンの映画館に入ることにしてちょうど時間が合うのは何かを調べたら「インセプション」だった。インセプションって……たしか「ダークナイト」のクリストファー・ノーラン監督の新作だったよなぁ、ディカプリオだったっけ? でもどんなストーリー? んーまいっか、と劇場に駆け込んだ。

そんな状態だったので、予備知識がまったくないまま劇場が暗くなった。ここまで先入観なく映画を観るのもめったにない。なんつっても大画面に渡辺謙が出てきて「うわっ出てるんだ!」と驚いたくらいなもんで(笑) ←つまりポスターすらろくに見ていない状態。

「人の夢の中に潜入してアイデアを盗む」という奇抜な設定すら知らずに観始めたこともあってとにかく細部の設定が理解できず、まいったなぁ、と途中まではお手上げ状態。そのうえストーリーは、過去と現在、リアルと夢、個人の体験とビジネスの目的などが複雑に絡み合う。このままよくわからないままに終わるのかっ !?

でも、ふと気がついたらのめりこんでいた。この映画は「なんでそうなるんだ?」と立ち止まってはいけない。とにかくついていこうと思った時点で面白くなった。
すごいなぁ。理解も腹落ちもしないのに、ストーリーを楽しんでるよオレ。表面上しかわからないのにカタルシス感じて泣きそうになってるよオレ。これってつまり脚本と演出がうまいんだ。こういうのを力技という。ほんの少しテンポが遅いと「なんでそうなるんだ?」と観客が立ち止まってしまう。そのギリギリのスピードで突っ走る。

観ている間、細部はホントにわからなかった。人の夢の中にどうやって入るのかという根本的なところがまずわからない。時間経過と潜在意識と「キック」がストーリー理解のキーポイントなのだが、その辺もまるですっきり腹落ちしない。でもいいの。面白いから。ノーラン監督は最初から観客に「わかること」を求めていない。わからないままにどれだけ引っ張って面白がらせるか、に勝負を挑んでいる。そんな印象。

だから見終わったときには「もう一度観たいかも」と思ったもんなぁ。
謎解きもそうだけど、なんというか、だら〜っとこの世界を観ていたいと思った。観ている間中、観客はみな、自分がいまいる世界が「リアル」なのか「夢」なのかがわからなくなる。リアルが夢か、夢がリアルか。その状態をだら〜っと楽しみたい感じ。そういう意味で「マトリックス」の1作目を観たあとに近い感じなのだけど、より重層的に描かれているこの映画の方が自分の中での混乱は深い。

劇場を出て、次の打ち合わせに向かうまで「なぜ渡辺謙だけが年寄りになっていたのか」を考えていた。打ち合わせの場所に着く直前、それが氷解した。そしてそこから一気に映画の内容がドミノ倒しのように理解されていった。ちょっと爽快♪

ノーラン監督ならではの凄まじい映像については、「あぁヒトってもう何も驚かないんだなぁ」と思ったな。凄まじい映像美と想像力なのだが、もう映画で何をやられても驚かない。それがデフォルトになってしまった。これからの映像はそこが当然となってしまうところが大変だ。

ということで、自分のいるこの世界を「より重層的に不思議に思いたい方」にオススメ。
アクション・サスペンス映画にカテゴライズされるのだろうけど、それだけではない深みがある。ちょっと良いよ。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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