唇に沿って横へローリング

2010年6月16日(水) 12:09:34

昨日帰ってきた高知はお酒の飲み方が恐ろしいところである。

いわゆる「べく盃」と言って、一度手に持ったらテーブルに置けない尖ったお猪口や、底に穴が開いているので指で穴をふさがないと飲めないお猪口(これも飲み干すまでテーブルに置けない)、鼻が尖っているので同じくテーブルに置けない天狗のお猪口とか、なんとも異様な酒盃が揃っている。しかも返盃(返杯)の嵐。相手から注がれたら、自分の盃を飲み干して相手に差し出し、返盃しないといけない。それを最低でも宴会の人数分しないといけない。しかも何度もしないといけない。そりゃ潰れるわ(笑)

まぁなんというか、要するに「酒好きな県民性」ということではあるのだけど、酔わせるのが接待、みたいなところもあるかもね。とにかく客人を酔い潰さないといられないような文化。ツイッターでも「高知はとにかく飲ませられるので注意!」「変なお猪口があるので注意!」「特に高知新聞は異様に飲む社風です!」とかサジェスチョンされた。てなこともあって、一昨日の講演後、高知新聞との夜の宴会はちょっと怖かった。恐る恐るついていったワタクシ。

まぁでも県外の客人にそんなに飲ませることはないらしく、きわめて紳士的に終わったし「べく盃」も出なかった。あー良かった。でも、小さなお猪口で返盃返盃返盃と続くのは一応経験させていただいた。

5人で行ったのだが、次から次へと返盃が来る。ぐぃっぐぃっと飲んでいく。そしたら指摘された。

「いや、頭を後ろに傾けてはいかんのよ」

小さなお猪口から酒を飲むとき(高知での酒は基本的にお燗。夏でもお燗らしい)、思わずぐぃっと頭を仰け反らせるよね。ビールを飲む時みたいに。それは男としてあまり格好がよろしくない、というのが高知の美意識らしい。つまり頭を動かさず、盃を口に当ててぐぃっと盃だけを傾けるのである。そのとき少し盃を横へローリングさせると飲みやすいらしい。ある方に実演していただいた。なるほど格好いい。何度か練習したがどうしても少しこぼれるなぁ…。

唇に沿って横へローリングさせたお猪口を相手に返盃するもんだから、まぁ間接キス的に言うとそれはもうぶちゅっと濃い間接キスなわけで、それを複数人と繰り返すわけで、まぁ時間が経つともうぐっちゃぐちゃだ。でも、なんか、短時間で相手が身近にはなる。どんどん親しくなれるのである。あぁこういう無理矢理な触れあいから生まれる関係って最近薄れているよなぁ。

写真は「ときわ」という古い居酒屋でいただいた「カツオの酢〆」。
この食べ方は、カツオ好きな高知でも他の店では見たことない、と、同行者。うまかった。もう一枚、「くじらすき(鍋)」の鯨の薄造り。この鍋もとても良かった。いい店。二軒目は「ひょん」。高知市街でも一番古いのではないかと言われる建物を使った、地元の人でなければ店の存在すら気づかないようなお店。というか、中は普通の居間だった(笑)。おもしろし。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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