映画「川の底からこんにちは」

2010年5月 7日(金) 17:39:41

はじめに昨日書いた「カゼイフィーチョ」の話。とりあえず口蹄疫緊急対策資金が創設され、そのPDFを読むと「水牛」も対象にはなっているようです。また詳しいことがわかり次第昨日のエントリーに追記します。

で、本題。
石井裕也監督の映画「川の底からこんにちは」を観てきた。@渋谷ユーロスペース

「オーケストラ」か「第9地区」かこの映画かのどれかを観ようと決めていたのだけど、時間的にうまく合ったのでこれを観た。

なんつうか、いろんな意味で不思議かつパワフルな映画だった。
見終わってその「全肯定な感じ」に気がつくのだが、全体的には不思議な空気が漂っている映画。

前半は、観客としてほとんど感情移入できない主人公(満島ひかり)の中途半端で煮え切らない妥協に満ちた「中の下」生活が淡々と描かれる。この、人生に不感症な諦観たっぷりの女の子が途中から豹変するのだが、その前後から映画はとても面白くなっていく。まったく器が小さかった人間が、最後は全部受け入れて開き直り、ドでかくなっているその感じが面白し。そしてまた出てくる人がみなどうしようもないのだけど、そのしょうがない人生をすべて肯定して、底の底で開き直る感じが実にパワフルだ。ロッキー・バルボアの覚醒を思い起こさせる。

幸福って「なる」ものではなく「気づく」ものだったりする部分がある一方で、「相対的なもの」でもある。誰かと比べて「自分は幸福かどうか」を計っている部分が人間どうしてもある。だから日本みたいに平均値が高く豊かな国に生きていると、幸福のハードルが異様に高くなっていくわけだが、この映画はその辺にケタグリかませてる感じが痛快だ。相対的には「中の下」だろうがそれの何が悪いんだ! と開き直った主人公の強さ。幼子にもそれを教え諭す感じもよかったな。

とはいえ、この映画は満島ひかりの魅力で持っている部分も大きい。いいなぁ。あまり観たことなかった女優だけど、これから注目してみたい。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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