ユンディ・リのリサイタルを聴いてきた
2010年4月21日(水) 7:41:22
昨晩はユンディ・リ(李雲迪)のピアノ・リサイタルに行ってきた。@サントリーホール
この人、2000年のショパン国際ピアノコンクールで、史上最年少(出場時17歳でコンクール中に18歳になった)で優勝したピアニストである。
過去2回連続で1位がいなかった同コンクールの15年ぶりの優勝者であり、中国人初の受賞であった。過去の最年少(18歳)はポリーニとツィマーマンというからスゴイ。
写真を見ればわかるが、キムタクというかペ・ヨンジュンというか、まぁ超イケメンなわけですね(この写真はよく写りすぎていると思うけど)。なので、かつてのブーニン以上の人気を日本で集めてるそうである。まぁでも実物はキムタクという感じでもなく、陽気でヤンチャそうないい感じの若者であった。
実は彼の演奏はCDとかでも聴いたことがなく、昨日が初めて。先入観持たずにフラットに聴けて良かったと思う。
印象としては、なんというかとってもカラフルだった。特にピアニッシモの色彩鮮やかなことといったら…。陰影というよりは光彩。明快にして美しい。思わず聴き惚れた。逆にフォルテッシモは「ピアノって打楽器だ」と再認識させるような激しさ。この緩急は聴いていて飽きない。
そして、なんか次々と脳内に映像が浮かんでくる。
実に映像的なピアノ。特に風景が脳内に浮かび、ボクの中ではなぜかスイスっぽい風景だった。ただ、「夜想曲」や「葬送」なんかでも、脳内映像が夜ではなく「昼」になる。つまり基本が「明るい」。若く飛び跳ねる。そんな印象。ただ、その明るさは実に気持ちいいもの。「葬送」など、最後に雲を突き抜けて青空が見えた。これはこれで気持ちいい。もう「深さ」とか「陰影」なんて老ピアニストにさせときゃいいじゃん?と思わせる。若い人の若いピアノ。最大限楽しめた。
曲目は「オール・ショパン・プログラム」で、
・夜想曲 第1番、第2番、第5番、第8番、第13番
・アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ
・4つのマズルカ
・ピアノ・ソナタ第2番「葬送」
・ポロネーズ第6番「英雄」
これにアンコールが「サンフラワー」(YouTube)。そして夜想曲第2番をふたたび。
夜想曲第1番は意外と硬質に始まったが、2番で軽やかさを出し、5番あたりからカラフルでヤンチャな味が出て、13番は異様な激しさで締めた。もうこれだけでお腹一杯だった。「葬送」も素晴らしかった。もちろん葬送行進曲はしめやかなのだが、まわりに希望が散りばめてある。おもしろい。死についてわかったふりをしてないところがイイ。「英雄」は逆に予想通りな感じ。ハマリすぎとも言える。
全体に知ってる曲ばっかりだったこともあって、彼の「表現」に集中できて楽しかった。
というかですね。演奏もうれしかったけど、もうひとつ「大光栄」なことが!
なんと、隣の隣の席に、音楽評論家の吉田秀和さんが座っていたのである!
今年97歳? もう同じ空間で同じ音を聴いているだけで光栄であった。あぁ、今、たった今、同じ音が彼の耳にも流れ込んでいるっ! …って、彼の本に憧れた青春時代を送った人でないとわからない感慨だと思うけど(笑)
