インビクタス。そしてモリ&オリザ
2010年3月12日(金) 8:46:51
以前から岩田守弘さんを平田オリザさんと繋げようと画策していたのだが(バレエと演劇ということもあるが、なによりも芸術立国論的な部分で話が合うと思ったし、この出会いが将来なにかの芽に育つ気がしてたから)、それがようやく昨晩かなった。
最初は19時から会うことにしていたのだが、今晩公演する「ロミオとジュリエット」で急遽代役が出たらしく「佐藤さん、急に通し稽古しなくちゃいけなくなったんですね」と岩田さんから連絡があり、オリザさんと調整した結果、22時からに変更することにした。
さて、どうしよう。時間が余った。
打ち合わせを19時前に銀座で終え、22時まで何もすることがない。長谷川等伯展は(昨日の木曜日は)17時までだしなぁ。会社に帰って仕事するか。それとも…。
そこでビビビと思い出した!(サンキュー、オレのシナプス!)
映画「インビクタス」が観たかったんだったったっ!
iPhone先生で調べると18:50から有楽町マリオンのピカデリー3でやっている。
いま飛び込めばまだ予告編だし大丈夫。
ということで、クリント・イーストウッド監督の新作「インビクタス/負けざる者たち」を観た。
もうすぐ公開終了なのでギリギリだった。間に合って良かった。
感想をくわしくは書かないが、いくらでもハリウッド的誇張を駆使できるこの題材(実話)を、端正に、ニュートラルに、淡々と撮ったイーストウッド監督の「きれいな知性」にまず感服。フェアで孤高で誇り高い。「この部分もっと盛り上げられる」「ここを伏線にすれば後半もっとグッとくるのに」とかいろいろ考えてしまうが、それをやらずに淡々と撮っていったところがいい。とはいえ、劇中何度も泣かされたけど。
心の揺れみたいなものの描き方(「ミリオンダラー・ベイビー」と似ている描き方)の最低限さとそのうまさ、「グラン・トリノ」と通じるような社会的メッセージ。モーガン・フリーマンとマット・デイモンの熱演。とてもよく出来た映画だと思う。
引用されていたウィリアム・アーネスト・ヘンリーの詩をネットで見つけたので全文載せておく。大切なことを思い出させてくれた感謝を込めて。
インビクタス
私を覆う漆黒の闇
鉄格子にひそむ奈落の闇
私は あらゆる神に感謝する
我が魂が征服されぬことを
無惨な状況においてさえ
私は ひるみも叫びもしなかった
運命に打ちのめされ 血を流しても
決して屈服しない
激しい怒りと涙の彼方に
恐ろしい死が浮かび上がる
だが 長きにわたる 脅しを受けてなお
私は何ひとつ 恐れはしない
門が いかに狭かろうと
いかなる罰に苦しめられようと
私が我が運命の支配者
私が我が魂の指揮官
終了後、通し稽古を終えた岩田さんと五反田で待ち合わせ、駒場の「こまばアゴラ劇場」へ(アゴラはオリザさんが芸術監督をしている劇場)。
移動中、岩田さんに「インビクタス」のことを話したら「あ、観たんですか! ボク、2回観ました! 今日の昼も両親と観てきました!」とのこと。偶然だねぇ。ふたりでこの映画の凄さや征服されぬ魂について語り合う。
オリザさんとも無事に会えて、一緒に近くの居酒屋「英香」へ。
途中から松井官房副長官も飛び入り参加して、みんなで芸術や劇場の未来について話し合う。松井さんは落語やクラシックを中心に幅広く芸術に触れている人。話題は多岐に及んで楽しかった。
私は あらゆる神に感謝する
我が魂が征服されぬことを
私が我が運命の支配者
私が我が魂の指揮官
インビクタスの詩を何度も反芻しつつ、25時半すぎに帰宅。
ネルソン・マンデラの27年間に及ぶ投獄と、その後の信念、赦し、礼儀、誇りに、思いを馳せる。
