マリインスキー・バレエ「白鳥の湖」(コンダウーロワ)

2009年11月23日(月) 21:48:18

来日中のマリインスキー・バレエに行ってきた。@神奈川県民ホール。

30日にもヴィシニョーワの「白鳥の湖」を観に行くのだが、今日のはまだ無名のコンダウーロワの「白鳥の湖」。若手がチャンスをもらうと一所懸命に踊るので意外と良かったりする。そして今日のはまさにそうだった。

ボクのバレエ経験は6年前のモスクワ旅行から始まっており(ボリショイ・バレエを6ステージ観劇)、岩田守弘くんが所属していることもあって圧倒的にボリショイ・バレエが好きなのだが、サンクトペテルブルグを本拠地とするマリインスキー・バレエも同じロシア・バレエなのでもちろん嫌いではない(この街にも行ったし)。
ただ、バレエ団の性格は多少違って、ボリショイが「情熱」ならマリインスキーは「冷静」。マリインスキーは、群舞の揃い方も、演出の精緻さも、踊りの端正さも、ボリショイより一歩上かなとは思う。迫ってくる熱さがあるボリショイの方が好きだけど、マリインスキーも観ていて惚れ惚れする。

今日の「白鳥」もまさにそうだった。
いやー、美しかった。まず、衣装、照明、そして舞台美術の美しいことよ。衣装はボリショイより数段上のセンスかも(ボリショイはいい意味でも悪い意味でも野暮ったいところがある)。美術も感嘆しどうしだったけど、第1幕第2場の湖水のシーンで、白鳥の模型が湖面に映って見える演出はとても新しかった(いままで見たことない!)。

舞台演出も上手。よく整理されていてわかりやすいし、とても写実的で観ていて楽しかった。ラストはハッピーエンドを選んだが、これも(マザコンの王子が急に強くなるのはどうかと思いつつ)まぁわかりやすいし、いいラスト。

そして、あまり期待しなかった白鳥役のエカテリーナ・コンダウーロワ!
この人、入団してから6年間も群舞(コールド)だったらしく、そこでの努力が認められて主役に抜擢されたとか。応援したくなってしまう(群舞からプリマドンナになるのは希有)。
1幕2場の白鳥シーンではちょっと老成していると思ったくらいな安定感があるダンスで、それが逆に「教科書的」に見えてしまい「どうかなー」と思ったのだが、2幕の黒鳥で印象が一気に覆った。妖艶かつ蠱惑的な黒鳥が見事に表現された。静と動を上手に演じ分けたなぁ。3幕のラストも良かった。どちらかというと哀しみの演技がもうひとつだが、これだけ安定感があればこれからどうにでもなる。今後に期待。ちょっとファン化。

あと、ロットバルト役のイワン・シートニコフが出色だった。王子役のダニーラ・コルスンツェフはまぁまぁというところ(ダンスは下手だけど存在感はあった)。道化役のラファエル・ムーシンは、どう贔屓目に見ても岩田さんにはテクニックで勝てず、かといってキャラも立っておらず少し残念だったかな。道化役って舞台を締める意味でとっても大事なのだと改めて確認。

とにかく、全体によくまとまった美しい舞台で、舞台演出的にはいままで見た「白鳥」の中でトップクラス。さすがマリインスキーという感じ。同じ演出でのヴィシニョーワの「白鳥」がいまから楽しみだ! うぅ、うれしいなヴィシニョーワのオデット。

ちなみに、マリインスキー・バレエの日本公演は12/11まで長々と続く(公演日程はこちら。東京・横浜以外では愛知・富山・滋賀・兵庫)。
今日のなんて空席もあったからね。モッタイナイ! 世界最高峰が向こうからわざわざ来てくれているのである。是非!

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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