寝転んで過ごした時間

2009年10月 9日(金) 7:56:28

昨日の台風18号で、新潟市の信濃川沿いにあったアート作品「Water Front 在水一方」が倒壊してしまったらしい。

写真はこの夏に新潟に行ったときに撮ったもの。
台湾のアーチスト王文志氏が作ったこの作品、右の入り口から中に入れるのだが、この内部がまたとても気持ちがいいのである。竹で精妙に編みこんだ空間は外に向かって閉じている。でも、信濃川が流れる音や新潟の街で生きている人たちの生活音、鳥の声、そして空からの光、川に反射した光などが、竹の隙間から川風とともにスルリと入ってくる。閉じているのに開いているこの不思議な感覚。

素晴らしい空間だったなぁ。ぼんやりと数十分、寝転んで過ごした。本当にいい時間だった。
東京で仕事しているときとかに、ふとあの空間での時間を思い出すことがあって、そこに置いてきた自分のカケラとつながる感じもあって、なんだかとても和んでいたんだけどなぁ。惜しいなぁ。

この写真は中に寝転んで天井を撮ったもの。見事な編み込みが少しはわかるかな。上を見ても横を見ても実にキレイに編み込んであって、そこに「人工」の素晴らしさを感じるんだけど、アート全体からは「自然」が肌で感じられる。この融合感もよかったな。

まぁもともと新潟市の「水と土の芸術祭」(越後妻有の「大地の芸術祭」に関連して開かれている芸術祭)用に造られたアートだったので、いつかは壊されてしまうものなのだけど、少しでも長く「そこにあって」ほしかった。

いや、でも、会期が終わって人力で壊されちゃうより、自然のチカラで壊されちゃう方が、実はこの作品に似合っているかもしれない。自然に対してとても柔(やわ)な作りであること自体に意味があったわけだし。うん、そうかも。

とりあえずあの空間を体験できてよかった。あそこに寝転んで過ごした時間はたぶんずっと忘れない。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

アーカイブ

同カテゴリーの他記事