「兵士の物語」 アダム・クーパー&ウィル・ケンプ
2009年9月17日(木) 6:32:24
Macのトラブルなどで書きそびれていたが、今週の月曜日(14日)、英国ロイヤル・オペラ・ハウス版「兵士の物語」を観た。@新国立劇場中ホール
サイトによると「世界初、 奇跡の実現! 本国英国でも、わずか数回しか公演されなかった、 ロイヤル・オペラ・ハウス製作のプレミア公演、 門外不出の『兵士の物語』、スーパー・スターの競演で東京・大阪に、世界初の引越公演!!」とある。話半分に聞いたとしてもなかなか稀少な公演である。
アダム・クーパーをはじめとするロイヤル・バレエのスター4人が、ダンスを披露するだけでなくセリフを使い芝居もする、というのは確かに面白い。舞台俳優が舞台でダンスをすることはよくあるが、世界トップレベルのダンサーが俳優として声を出し芝居をするのはほとんど見たことがない。しかもアダム・クーパーとウィル・ケンプという二大スターの競演。音楽はストラヴィンスキー。面白そうじゃん?
席は前から3列目と極上。
開演前、iPhone から Twitter に書き込んでいたら、2席横の人も iPhone から Twitter に書き込んでいた(笑)。今後こういう光景はいろんなところで見られるようになるだろうな。Twitter に限らず、Brightkite みたいなリアルな場所を共有していくソーシャル・メディアも増えるだろう。この辺のいくつかが統合したような、決定的なサービスがそのうち出るような気がする。
閑話休題。会場に入るとまず目を奪われるのは舞台美術(写真はサイトより拝借)。7人の生オケが入るオケピの演出も美しい。舞台の上手下手は酒場のテーブルのようになっていてそこに観客も少し入り、まだ会場が明るいうちにウィル・ケンプら4人が舞台に出てきてその観客と握手したりしている。そうやっていつの間にか物語に引き込まれていく設定。ただ、ストーリーを体現した舞台美術ではなく、見せ方を優先した美術。美しいけど、最後までピンとは来なかった。
ウィル・ケンプのセリフ回しが上手で驚いた。だってダンサーだし、と期待しなかった分、その上手さに舌を巻いた感じ。ちゃんと本格的な「演劇」になっている(ちなみに和訳は舞台袖に表示される)。ただ、彼は語り部として登場したのだが、とっても説明的なセリフ回しで少しイヤな予感(まぁこれは演出の問題であるが)。これだけのダンサーが集まったのだから、もっとダンスで視覚的に展開していくような演出かと思ったら、ほとんど語り部のストーリー説明とセリフで理屈っぽく展開していく。ダンスは添え物的ですらある。うーん…。
とはいえ、いったん踊り出すとその美しさに惚れ惚れするな。
特にラストの20分。いままで抑えていた分を一気に放出するように4人が踊りまくる。そして悪魔が本来の姿で出てくるラスト。凄まじいラストで会場は一気に白熱した。
正直言うと、たった1時間15分の舞台なのに、前半はわりと退屈で(見せ場は少しはあったが)、寝ている人もいた気がする。でもラストの20分は価値があった。中盤からは笑いもあり、なかなか楽しかったし。
大雑把な感想としては「ユニークなもの観たなぁ。美しかったけど」という印象。まぁ音楽もストラヴィンスキーですからね、わかりやすく楽しいなんてことはない。そして演出はとても説明的。うーん、出来としてはいまひとつなのかな。個人的にはアダム・クーパーとウィル・ケンプを間近で観られたことと、「ダンスが超安定している演劇」といういままでにない体験が出来たのが面白かったことと、まぶたの裏に焼き付けられるほど(スチル的に)美しい場面がいくつかあったことが収穫かも。
あ、それと、悪魔役のマシュー・ハートが実によかった。これも収穫。特にラストの悪魔。あと、悲劇と喜劇の両方を演じ分けたゼナイダ・ヤノスキーも素晴らしい。うん、この2人を含め、4人の出演者はとても良かったな。敢えて言えば、アダム・クーパーのダンスの見せ場はたくさんあったが、ウィル・ケンプの見せ場が少なかったのは残念かも。
最後にキャストを書いておくと、
兵士:アダム・クーパー
語り部:ウィル・ケンプ
王女&許嫁:ゼナイダ・ヤノスキー
悪魔:マシュー・ハート
演出振付:ウィル・タケット
舞台美術:レズ・ブラザーストン
製作:英国ロイヤル・オペラ・ハウス
今月20日21日は大阪厚生年金会館芸術ホールでもやるみたい。
