バレエ・アステラス2009
2009年8月10日(月) 7:04:33
モリ(岩田守弘さん)のバレエを観に「バレエ・アステラス2009」へ。@新国立劇場 中劇場
この公演、文化庁新進芸術家育成公演等事業で、副題に「海外で活躍する日本人バレエダンサーを迎えて」とある。
アステラスとはギリシャ語で「スター、星たち」だとか。別に製薬会社が後援してるというわけではなく(笑)、今年から始まった文化庁主催の文化事業である。
ここ数年のモリの例をとってみてもそうなのだが、あれだけ海外で活躍しながら、日本で踊る機会が本当に少なかった。数年に一度のボリショイ・バレエ来日公演のときに配役されない限り、ほとんど日本で踊れない。海外で得た経験を披露する場も、後進に伝える場も、実に限られていたのである。
そういうことを憂いている人が他にもたくさんいて、こういう場が出来たという流れ。とってもいいことだと思う。海外というアウェイで孤独に闘っている日本人ダンサーのモチベーションにもつながる。いい企画だ。本当に感謝したい。長く続くといいなぁ。
出演者の中で一番キャリアが長くて有名なのはモリかな。まぁそれでもNHKの放映があるまでは超無名だったけど(バレエの本場ロシアでは今年勲章をもらったくらい有名)。
他に来日したのは、浅見紘子(ドレスデン国立歌劇場)、菅野真代(ディアボロ・バレエ団)、寺山春美(シーダーレイク・コンテンポラリーバレエ)、長崎真湖(遼寧バレエ団)、針山愛美(ベルリン国立バレエ団)、安川千晶(オーランド・バレエ団)。それぞれに海外から相手役を連れてきての出演。
みんなアウェイで一線の人なのでそれぞれに良かったが、まったく贔屓目抜きでモリのダンスが凄かった。
お姉さんの岩田唯起子さんと「サタネラ」のパ・ド・ドゥを踊ったのだが、舞台に姿を現した時点でもうその違いがわかる。ひと言で言うと「ひとりだけ日本人じゃない」感じ。雰囲気や立ち振る舞いが優雅で日本人離れしており、登場しただけで舞台の空気をパッと変えてしまった。というか、ダンスじゃなく「演技」になっている。ひとりだけ踊ってない(ダンスを意識していない)。そんな印象。
もちろんジャンプ力や回転の素晴らしさは群を抜いているし、昨日も堪能できたが、「あぁ根本的に違うなぁ」と思ったのは、立ち姿、手の動き、指先の表現など、基本的なところ。特に手と指の動き。ものすごくキレイで見惚れる。あと目。目や顔の表情でちゃんと演技している。当たり前のことのようだけど、ダンスに精一杯で演技まで気が回っていないダンサーが(ボリショイとかのレベルでも)とてもたくさんいる。うーむ。知れば知るほど、観れば観るほど、彼のうまさ、美しさに唸らされる。
モリたちが踊ったあと休憩時間になったのだが、ホワイエ(ロビー)は彼のダンスで持ちきりだった。
他に昨日イイ!と思ったのは、寺山春美さん。まぁコンテンポラリー(「サンデイ・アゲイン」という演目)を踊ったので目立ったということもあるけど、小さいのにゴムまりみたいなエネルギーで楽しかった。あと、遼寧バレエ団のふたりが良かった。長崎真湖さんと彼女が連れてきた呂萌というプリンシパル。特に呂萌。スター性があるなぁ。彼のダンスの明暗の切れはタダモノではない感じ。ヨーロッパに出てみたら国際的なスターになる可能性があるかも。
海外組以外に、新国立劇場バレエ研修所修了生のダンスがあったが、これも意外によかった。特にフィナーレ前の「カプリチョ・エスパニョール」。踊りの完成度はなかなか。あとは迫力とか内面の激しさが表現できてくるともっとグッと来るなぁ。
公演後、レセプション(打ち上げみたいなもの)に参加。
文化庁長官のスピーチもあった。少々遅かったとはいえ(モリが海外組最年長とかになる前にやってほしかった)、こういうイベントは本当に意義がある。「文化」はこれからの日本の「米」。自民党か民主党、どちらが政権を取るにしても、こういう事業はどんどん推進してほしい。
