神保町から九段下
2009年7月17日(金) 8:41:27
サイモン&ガーファンクルのライブを見る前、少々時間があったので神保町をほっつき歩いた。
本当に久しぶりの古書街。
こういうところにくると、「なにかいい本ないかなぁ」と掘り出し物を探しつつ、無意識に自分が書いた本も探してしまう。ちょっとドキドキしながら。
見つかったら見つかったでうれしいけどやっぱりどこか寂しいもの。読んでくれた人の本棚に定着せず、売られてしまったことが少し寂しい。とはいえ、どんな名作や稀少本でもこうして古本屋で流通するのだから(つまりは売る人がいるのだから)光栄だとも言える。複雑な気持ちだ。
古本として読む人との新しい出会いを棚でじぃっと待っている自分の本を見つけると、とってもけなげで可愛く見える。けなげだなぁ。誰かいい人に巡り会えるといいなぁ。でも親としてのボクは何の手助けもしてあげられないや…。
ライブまであと1時間半ある。ご飯を食べよう。
いくつか迷った挙げ句、学生時代以来の「キッチン南海」へ。この店30年ぶりかな。浪人時代以来だ。記憶どおりの真っ黒なカツカレー。30年も変わらないものがあるというのは幸せなこと。量も変わらない。学生サイズの山盛りだ。学生たちに交じってワシワシ食べる。となりの学生さんはカレー大盛&一品でフライをもらっていた。マジかよ。それ、見た目ですでに胃袋の倍くらいあるんですけど。
口から喉から胃袋から学生カレーの香りいっぱいのままサイモン&ガーファンクルを見に行くのもどうかと思い、珈琲の香りで多少文化的にしてから行くことに。「さぼうる」かなぁ「古瀬戸」かなぁと迷った末、これまた久しぶりの喫茶「トロワバグ」へ。ここは10年ぶりくらい。20世紀の世紀末によくここに通った。
この店も時間が止まっている。
いや、たぶんボクの時間が動きすぎている。そろそろ動くのを止めるべきときか。
ちょうどいい時間になったので、武道館まで歩いた。
神保町を抜け、九段下を通って坂を上がる。
途中で「九段下寿司政」の横を通った。あぁここでシンコを食べる手もあったな。山口瞳は「九段下寿司政のシンコを食べないと、私の夏が終らない」と書いた。そういえば今年はまだシンコを食べていない。というか、たった十数年前には夏の終わりが旬だったシンコも、最近では夏の始まりの風物詩。6月から出てくる。おかげで山口瞳の名言も、なんだかピントはずれになっちゃったな。
坂の途中から「大きな玉ねぎ」が見えてくる。武道館の屋根の上の丸い飾り。
大阪勤務のころ、爆風スランプのあの名曲を聴いて「ねぇ、この玉ねぎって何なん?」って女の子に聞かれたっけ。武道館に何度も行ったことないとあの歌詞はピンと来ないよね。超不親切。でも、当時、親切な文章を書くことを心がけていたコピーライターのボクは、その超不親切さに衝撃を受けたんだった。
ライブの客層は40代50代60代が圧倒的。あぁ同志がここにもあそこにも。
はからずも「ほっつき歩き」の懐古気分がいい前戯となった。サイモン&ガーファンクルの世界に浸る準備万端。そして1曲目が「Old Friends」。なんだか出来すぎだね。でもおかげであれから2日経っても「昔」から抜け出られない。まぁたまにはいいのだけれど。
