ボリショイ・バレエ「白鳥の湖」@大阪

2008年12月16日(火) 7:53:19

あーあ、モリ(岩田守弘さん)もモスクワに帰っちゃったな。

ということで、土曜に観た「白鳥の湖」の感想を。
観たのは大阪のフェスティバル・ホール。50周年を迎える老舗のホールで、音がいいのでも有名。今月いっぱいで取り壊し、2013年に中之島フェスティバルタワーという複合ビルの中に復活するそうだ。味のある今のホールの雰囲気が少しでも残るといいな。

12/7に観たクリサノワとグダーノフがとても良かったので、今回の「白鳥の湖」も相当期待して観たが、王子役のシュピレフスキーがかなりダメだったのが残念。跳ばない。回らない。決まらない。このヒト、顔・スタイル・背の高さなどが抜群で、岩田さんをして「天は二物どころか三物与えるんですねぇ」と溜息をつかせたほどなのだが、うーん、ダンスに関しては疑問だなぁ。
そうそう、ボクの隣の席がボリショイ・バレエ芸術監督のラトマンスキーだったのだが、彼はシュピレフスキーのソロのとき、まったく拍手しなかった。他では拍手してたから、彼もかなりガッカリ気味だったのだと思われ。

オデット/オディール役のアレクサンドロワは、やっぱり異様にうまい。
でも、なんというかマッチョな白鳥で、どうにも哀しさが伝わってこない。逆に黒鳥は素晴らしかったけど、なんというか黒鳥というよりは鷹か鷲な感じ。猛禽類系の凄みがありすぎてちょっと怖かった。このヒトの踊りは大好きだしテクニックも抜群だと思うけど「白鳥の湖」は向いてないかも。

ベロゴロフツェフのロットバルトは良かった。彼が出てくるとシュプレフスキーのダメさが少し緩和されてホッとする。アレクサンドロワとの3人の踊りは素晴らしかったなぁ。

と、全体に7日に観た「白鳥の湖」より多少劣った印象だったのだけど(もちろん全体にレベルは異様に高かったのだけど)、その分、岩田さんの素晴らしさが目立った舞台だった。
ほんと、誰よりも高く、誰よりも速く、軸もぶれない。最後もバシッと決まる。観ていて「美しい」と溜息が出る。そこに大阪ならではの大拍手(超大拍手)が加わって大盛り上がり。東京の拍手と熱さが違う。ブラボーも乱れ飛び。「そこは拍手するとこじゃないから!」と思うようなとこでも大拍手(笑)
ボクは例によって涙。パブロフの犬か。岩田さんがすごいダンスを見せるたびに涙がじょぉぉぉ。友人として誇らしいのと、彼のいままでの孤独を想像して哀しくなるのとが混ざり合ったような、我ながら不思議な涙。

終わってから岩田さんと飲みに行って大拍手について感想を聞いてみたけど、それはそれは喜んでいた。でも、「なんか拍手がありすぎて、ダンスの出来に対する拍手というよりは、小さい子供に対する『岩田くーん、頑張ってー』みたいな応援の拍手に聞こえちゃって(笑)」と笑っていた。確かに身びいき的な応援の気持ちもいっぱい入っていた。「プロフェッショナル」を観て岩田さん目当てで初めてバレエを観に来たヒトもたくさんいたと思うし。でもそれはとてもいいことだ。

主要キャスト:

 オデット/オディール: マリーヤ・アレクサンドロワ
 ジークフリート王子: アルテム・シュピレフスキー
 ロットバルト: ドミートリー・ベロゴロフツェフ
 道化: 岩田守弘

細かいところでは、王子の友人たち役でクリサノワ、ナポリの王女役にゴリャーチェワ、ワルツのコールドでバラーノフが出ていた。それぞれ他の公演日には主役級を演じた若手である。

そうそう、第一幕第一場でいつもは弓矢が渡されるところでなんと日本刀が渡されるという細かいギャグがあった。
しかもシュピレフスキーはそれをサムライのように腰に差すアクションをした。横に座っていた芸術監督がクスッと笑う。あとで岩田さんに聞いたら「なんかね、公演も最後の方になると、そうやってふざけるやつがいるんですよ。必要ないのにヒゲを顔に描いたり」と、笑っていた。ま、わかるけど。しかし日本刀とは(笑)

んー、これで来シーズンまではバレエとおさらばかな。グリゴローヴィチ版じゃない「白鳥」をちょっと観てみたい気分なので、DVDとか、少し探そう。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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