ホンマタカシ「TOKYO」
2008年7月27日(日) 8:46:38

TAKASHI HOMMA「TOKYO」。
ハワイで撮影をご一緒したホンマタカシさん初の海外出版写真集である。1998年に発表された代表作「TOKYO SUBURBIA」(第24回木村伊兵衛賞受賞)も含めたトウキョウ写真の集大成。
ボクたちの目に見慣れた「東京」が、ホンマさんの目で「トウキョウ」として再生される。
最初の印象は「淡々として植物的な写真だなぁ」であったが、何度も見ているうちに「これは日本人の目線ではない」と気づいた。異邦人の目線だ。いや、厳密に言うと、本当の異邦人なら「トウキョウの異質な部分」をもっと強調するだろう。彼はそれをしない。そういう意味では「邦人だからこそ獲得できる異邦人の目線」と言った方が正確か。客観的で冷めていてどこにも属さない。そんな孤独な目線。
無表情に、マネキンのように切り取られた子供たちの肖像。同じく無表情に模型のように切り取られた東京。ときどき出てくる彼の愛犬ですら作り物のようである。そこに「都会の寂しさ」を感じる人もいるかもしれないが、ボクは逆。ホンマさんの写真で異邦人の目線を共有すればするほど、周りにあるリアルな東京風景が猥雑で冗長でエネルギッシュな「体温が高い街」に見えてくる。
写真を見た人が、写真を見た後に、東京とトウキョウの狭間で揺れ、リアルな東京を再発見する。
なんかそんな優れたインタラクションをボクはこの写真集に感じたな。さりげないけど密度の高い、何度も見返したくなる一冊。最近とても多い、スナップの面白さ(スライス・オブ・ライフの面白さ)をメインに売る写真家が、いい意味でも悪い意味でも「若い」ということをわからせてくれた写真集。
