映画「バンテージ・ポイント」

2008年3月25日(火) 7:53:02

あちこちのブログで褒めてあったので遅ればせながら観に行った。
大変クレバーな映画。おもろかったなぁ。

ひとつの事件を8つの異なる視点(バンテージ・ポイント)からオムニバス的に描いており、エピソードが進むに従って次々新たなる意外な事実が浮かび上がってきて、一見シンプルに見えるシーンの複雑な裏側が明らかになっていく。その畳みかけの仕方が見事で、脚本の完成度の高さに舌を巻く。演出もカメラワークも文句なし。

時間の切り取り方がどこか「パルプ・フィクション」的なのだが、タランティーノが上手なのは「少し退屈な時間を作る」こと。長編にはその「隙」が必要不可欠だとボクは思っているが、この映画にはそれがない。最初から最後まで絶え間なく観客を引きずり回す。1時間30分という短い上映時間にしたのはそのためだろうが、あと30分の「隙」を足して2時間ものにしていたら名作になったのではないかと思わされる。後半、もう少しだけ人間が描けていたら、と惜しく思う。ただ、時間を巻き戻して周辺を何度も丹念に描くことで人物像が次第に浮かび上がってくる快感も捨てがたいので微妙なところか。

こういうクレバーな映画は「感心はするけど感動はしない」ものである。でも、最終エピソードのカーチェイスと卓越した編集がそれを救っている。ある男のエピソードがかなり不自然なのと、ある女性(有名女優なので重要登場人物に見える)のその後が描かれないこと、カーチェイスがさすがにやり過ぎではないかと思わされることなど、多少瑕疵はあるが、かなりの良作。というか、もう一度観たい。この週末、もう一回観に行こうかな。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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