人形浄瑠璃 文楽「菅原伝授手習鑑」

2007年9月10日(月) 7:30:58

5月以来4ヶ月ぶりに文楽を聞きに行った。国立劇場小劇場。
って、そう、初めて知ったんだけど、文楽は「観る」のではなくて「聞く」んだってね(無知)。要するに太夫が語る義太夫節を聞くのが主で、人形の演劇は従なわけだ。だから太夫の位が一番高いのだとか。次が三味線弾き。人形遣いはその下に位置するらしい。

昨日は吉田玉男一周忌追善公演で「菅原伝授手習鑑」。
人形浄瑠璃の三大名作のひとつと数えられる作品で、主役である菅原道真(菅丞相)が故・吉田玉男の当たり役として有名だったので追善公演に選ばれたという。その初段と二段目を16時から20時半まで4時間半(!)かけて上演。本当は三段目と四段目が一番盛り上がるらしく、初段と二段目だけを上演することは珍しいらしい。それを聞いて「あ〜盛り上がりに欠けるのかぁ…」とちょっと心配したが(寝ちゃいそうで)、杞憂に終わった。実に面白かった。これで盛り上がりに欠けるのなら、三段目四段目はどんななんだ?

ギリークラブという会員組織で一度講義をしたことがあり、その関係でいろんな案内メールをいただけるようになったのだが、今回はその会合「和・倶楽部」に参加したカタチ。
特典として開演前に太夫から1時間弱のレクチャーが受けられる。座学形式とはいえ、間近で太夫のレクチャー、そして義太夫の一部を聞かせていただけるのはなかなか面白かった。教えてくださったのは竹本文字久太夫。町人と武士の演じ分け方なんかも教えてくれたり、「書見台はヤフオクで買った」みたいな裏話を教えてくれたりして楽しかった。で、実際にその数時間後、彼自身が舞台で義太夫節を語ってくれたわけで、なんだか妙なシズル感があったな。思わず応援したんだけど、そんなことが必要ないくらい堂々たる義太夫。今回の太夫の中で豊竹嶋大夫に次いでうまかった気がしたくらい。

さて、開演。会場はほぼ満席。
最初に書いたとおり、初段と二段目は退屈そうだったから心配したが、全くそんなことはなく、特に築地の段、東天紅の段、丞相名残の段あたりは全く飽きなかった。オモロイなぁ文楽。
太夫では、前回「通し狂言 絵本太功記」でも感心した豊竹嶋大夫がやっぱり素晴らしい。人形そっちのけで聞き惚れた。そしてレクチャーしてくださった竹本文字久太夫。素晴らしい。人形遣いでは特別出演でちょっとだけ出た吉田簑助の奴宅内がやっぱ印象的。全部持ってっちゃった感じ。あとは桐竹勘十郎の宿禰太郎も。吉田文雀の覚寿も良かったけど、相当玄人好みな感じで、ボクにはまだわかりきっていない。吉田玉男にかわって菅丞相を演じた吉田玉女もよくわからなかった。目が肥えてくるともっと渋いところを見出すのかも。

さて、文楽はこれで時代物をふたつ観たので、次は世話物を観なければ。
前回もバッタリ会った仕事仲間(着物来て格好良く観劇に来ている)と今回もバッタリ。「さとうさん、世話物はまた違う面白さよ」と頻りに勧めるし。今度はいつ行こうかな。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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