天動説と大島保克
2007年4月23日(月) 8:01:25
ロシアの国民の28%が天動説を信じている、というニュースはなかなか衝撃的だった。
ロシアの153都市で1600人を対象に行われた調査らしく、他にも「『放射能に汚染された牛乳は煮沸すれば飲んでも安全』との回答が14%、『人類は恐竜時代に既に出現していた』との回答が30%に上った」らしい。この、彼我の情報格差はなんだろう。日本人が日々摂取している情報量と彼らロシア人が摂取している情報量の差は果てしない。同じ日本人の間でも情報格差の問題はこれからどんどん顕在化されていくと思うが、まさかあの大国の約3割がよりによって天動説を信じているとは…。
でも、切り口を「幸せかどうか」に変えると、どっちが幸せかは微妙なところ。天動説を信じ、少ない情報量の中で穏やかに生きている方がずっと幸せかもしれない。
そんなことを、大島保克の新譜「大島保克 with ジェフリー・キーザー」を聴きながら思った。
大島保克が、ジャズピアニスト、ジェフリー・キーザーとの競演で島唄を歌っている、とても「情報量の少ない」音楽である。シンプルかつ最小限な三線とピアノ、そして大島の声。最小限でなければ伝えられない空気がここにはある。
NY録音ということもあってか、島の土や海の匂いが(いい意味で)消え、普遍化され、どこでもない土地の懐かしい音楽に昇華されている。なんか(八重山の)海の風景と(ニュー・イングランドの)草原の風景が両方同時にまぶたに浮かんでくるような…。特に3曲目「くいぬばな」の浮遊感は例えようもない。
たとえばどこかの小さな島で「太陽は地球の周りを回っている」と当たり前のように信じてシンプルに生きている自分を想像してみる。大島保克を聴きながら東京の隅っこでそんな想像に身を任せる悦楽。こんなとき「わざわざ旅をしなくても旅はできるなぁ。人生も同じだなぁ」とか、にわかに悟ったりする。ただ、その悟りの持続は難しく、たった数十分でフワリと消えちゃうものなんだけど。
