「真鶴」と「ひとり日和」

2007年02月26日(月) 12:40:45

まだ「おもしろ本」には書いていないが、川上弘美「真鶴」青山七恵「ひとり日和」が最近読んだ中では格段に面白かった。

川上弘美は、「蛇を踏む」のころのちょっとおどろおどろしい異化の表現と「センセイの鞄」にあるような性善説的ホンワカ感が見事に融合してきて、なんだか新境地的であった。言葉の選び方や会話の描き分けの鮮やかさ、ひらがなと漢字の使い分け、浮遊感と現実感の出し入れなど、細かいところまで計算しつくされ、前半と後半では手触りまで違い、うわぁと圧倒された感じ。すごいわ。「文学を読む楽しさ」を心ゆくまで堪能させてくれた。さすがだなぁ。

青山七恵のは芥川賞受賞作。石原慎太郎と村上龍が同時に激賞しているなら読まざるを得ない。
なんだろう、「イマの気分」についていろんな発見を与えてくれる小説だった。時事小説という意味ではなく、ふんわり捉えがたい「今の若者の意識の流れ」みたいなものを見事に紙の上に定着させてくれた感じ。全体に漂うのはイマが持っている微妙な「薄さ」なんだけど、文章自体は「濃い」のである。薄いものを薄く書いたり、繊細なものを繊細に書いたりするのは意外と難しくない技だと思うのだけど、薄いものを濃く表現したり、繊細なものを乱暴に表現したりするのって、かなりハイブロウな技だと思う。その辺が素晴らしいと思ったな。あ、この場合の「濃い」は、濃厚な表現という意味ではなくて「感覚に逃げていない」みたいな感じなんだけど。

二作ともそんなに厚い本ではないのに、読むのにすごく時間がかかった。というか時間をかけた。ゆっくりゆっくり味わいながら読みたい本だったのだ。その反動で今はページをめくる手をずんずんドライブしてくれる本を選んで読んでいる。森絵都の「DIVE!!」「一瞬の風になれ」系。これはこれで気持ちいい。

そういえば、娘はゲームとかでキャラに名前を付ける時「エト」と名付けているくらいな森絵都ファン。ボクは娘に紹介されていろいろ読んでいる最中(笑

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