食べず飲まずだと読書が進む
2006年10月18日(水) 8:23:22
「オタク・イン・USA」(パトリック・マシアス著/町山智浩訳/太田出版/1480円)読了。
なんつうか、アニメやマンガがアメリカでこんなに流行ってるんだー、という感慨と、アメリカでこんなに改悪されてるんだー、という怒りと、アメリカの田舎の生活って確かにつまんなそー、という実感と、アメリカの倫理観ってめっちゃ不自由そー、という溜め息と、アメリカにも話が分かるヤツがちゃんといるのねー、という共感と、少女マンガで日本を理解されるのは実際ありだなー、という安心なんかがありました。現場のシズルがよく出た好著。著者(訳者?)のオタクに対する距離感や愛情もちょうど良い。変に文化論にせずにアメリカでの実際を伝えてくれたことでいろいろよくわかった。つうか、なんだろう、ああいう底の厚い文化を生み出している日本に住んでいる人がこの本を読むんだ、というリスペクトみたいなものが底流に感じられるのが今までにない感じ。
「世界の果てのビートルズ」(ミカエル・ニエミ著/岩本正恵訳/新潮クレスト・ブックス/1900円)読了。
人口が900万人しかいないスウェーデンで75万部売れたというベストセラー。素晴らしかった。短編の積み重ねで綴って行く自伝的小説なのだが、そのリアリティと小説的ジャンプとのバランスが良く、自伝のくせに先行きが想像つかないのだ。プロローグ、そして最初の三章を読んで、一回本を閉じた。これは読者自身の想像力を試される本でもある。電車とかで読むのはもったいない。どこか旅先でゆっくり読みたい感じ(まぁ家のベッドで大事に読んだのだけど)。
それにしても活き活きと描かれる村の生活の魅力的なことよ。フィンランド国境に近いド田舎の村パヤラ。世界の果て。そこで暮らすヘンテコな男たち女たち。少年が起こす事件の数々。サウナと酒と衝撃的体験としてのロックンロール。いまやパヤラはこの本のおかげでちょっとした観光地らしいが、それもわかる。是非とも景色や空気感を共有してみたくなるほどだ。
いま読んでいるのは「ブッダは、なぜ子を捨てたか」(山折哲雄著/集英社新書/714円)。読まれるべくベッド横に待機してるのは「マティスを追いかけて」(ジェームズ・モーガン著/山岡万里子訳/アスペクト/2940円)と「のぼせもんやけん」(小松政夫著/竹書房/1575円)と「イリアム」(ダン・シモンズ著/酒井昭伸訳/早川書房/3150円)。
なんだかね、小松政夫の「のぼせもんやけん」が傑作くさい匂い。
