燃える人さし指

2006年7月27日(木) 9:13:14

昨晩は岩田守弘さんの実家にお呼ばれ。一緒に来日してる奥さん(オリガさん)のロシア家庭料理をいただいた。オリガさんの手料理はモスクワも含めると4回目かな。ロシアの食材をわざわざ持ってきて料理してくれるという本格ぶり。味もそうだが色が違うの。ボルシチとか金赤だし。マジで毎回びっくりするほどうまい。

食後、今日のメインイベントである70度のお酒「PASSOVER SLIVOVITZ」の一気飲み。
パッソーヴァ・スリヴォヴィッツ。プラム・ブランデーともプラム・ウォトカとも言われるスリヴォヴィッツァの中でも最高クラスの度数を誇る。樽熟の甘い香り。これを一緒に飲みたいとロシアからわざわざ持参してくれたのだった。

「このお酒はね、ポーランドのお酒なんですけどね、飲み方があるんですよ」と岩田さん。

「まず人さし指を口に入れて舐める。その後、お酒の入ったグラスに指を突っ込んで浸す。んでもってライターでその人さし指に火をつけて燃やします」
「ひえ〜〜!」
「ボクがあっちで飲んだのはもうちょっと度数高かったんで燃えたけど、コレは70度だからなぁ。燃えるかなぁ」
「も、燃やさないとダメっすか?」
「ダメです! 味が違います!」
「……(ほんまかいな)」
「でね、佐藤さん、ライターで火をつけて、指が燃えたらすぐ火ごと口に入れてしゃぶるの。それからすぐにグラスを一気飲みするんです。そうするとうまいの!」

……な、なんちゅう飲み方や。
ポーランドでポピュラーな飲み方かどうか知らんが、とにかくそれが正式だ!と岩田さんは主張する。それではまず岩田さんから。岩田家族、佐藤家族の目が集まる。

「こうでしょ。グラスの酒に人さし指を浸して…ライターで………アチッ!」

爆笑。でも、青い火が人さし指から確かに立ち上り、それを急いで口に入れ、そのままグラスを一気飲みする岩田さん。カンッと乾いた音を立ててテーブルにグラスを置く。「プハーッ、うまい! はい、次、佐藤さん!」

ううむ…。
でも肚を決めてトライ。花火師だしな(関係ない)。

指を舐め、酒につけ、いざライターで点火。

……どわアッチィ!

指の先はあまり熱くないが、指の根元、つまり酒がついているとことついてないとこの境目あたりの皮膚がチリチリ燃える(あぁなるほど。この境目がヤケドしないように先に指を入念に舐めて唾液で囲っておくのだな)。

観衆に言わせると「人さし指の青い火をしばらくボーッと見てた。そりゃ熱いわ」らしい。だってキレイなんだもん。とはいえ見てたのはほんの0.8秒。急いで口でしゃぶる。焦ってるから味なんてわからん。その後すぐに一気すると、なんだか焦げ臭い味と混ざって妙に香ばしい。ん? こ、焦げ臭い? あ! 数本しかない指の毛が全部燃え、キレイに脱毛されてます!

「ね、味が違うでしょ? ほら、次、優子さん!」と、嫌がる優子もオリガさんもやらされ、みんなでキャーキャー盛り上がる。いやぁこんな飲み方聞いたことない。ポーランドでは4本指でやる強者もいるらしい。燃えた指を順々に口に入れていくので小指は相当時間燃え続ける。うひょひょひょ。

70度の酒なので調子に乗って飲んでるとボーッとしてくる。
あぁ楽しいなぁ。こういうおバカな時間って人生そのものだよなぁ。明日のことを考えずにこのまま70度の世界におぼれちゃうのが筋だよなぁ。とか思いつつ、明日の仕事を考えて適当なところで切り上げちゃう小市民なワタクシ。でも本当に楽しかった。岩田さん、ありがとう! また!

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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