たった9分の傑作映画「ランデブー」

2006年4月30日(日) 7:03:38

YouTube効果で、初めて観られた。

伝説の名画「ランデブー」

噂には聞いていたが、マジで圧倒される9分間であった。
1965年にクロード・ルルーシュ監督が撮影したもので、自分の愛車フェラーリ275GTBにカメラを取り付け、F1ドライバー、モーリス・トランティニアンに運転させて、パリの公道をアクセル全開で突っ走る短編映画。1カメ・ノーカットのドキュメント映像。それも許可なしの爆走なので交通規制なし。

1965年の早朝のパリを、凱旋門、シャンゼリゼ、コンコルド広場、ルーブル、オペラ座、そしてモンマルトルのサクレ・クール寺院まで、赤信号すべて無視、車やバスやトラック、そして人やハトもすれすれで通りすぎる。んでもって単なる映像ものかと思わせといて、ラストのラストに物語が用意されているのも素晴らしい。

撮影後にルルーシュ監督は逮捕されたらしい(笑)。そりゃそうだ。ひとつ間違えれば大事故である。

ちなみにこの監督、1年後に原案・脚本・製作・監督・撮影を全部自分でやって(つまり自腹自主製作映画ということ。予算がないからモノクロを多用しそれが逆に斬新と評価された)、映画「男と女」を大ヒットさせるが、あれは妻に自殺されたレーサーが主人公だった。そして、妻の自殺は主人公がル・マン24時間耐久レース中に事故ったことが原因……ん?

制作年を考えると、この9分のフィルムは「男と女」を撮っているときに撮られていることになる。となると、この映像はたぶん「男と女」の主人公であるレーサーを想定していて、ラストに出てくる女性は自殺した妻なのではないか。命ぎりぎりで突っ走るレーサーの姿を「公道をスリリングに走る」ことで映像化し、妻のハラハラを、狂おしいほど心配する胸の内を、表現したものではないか。

「男と女」がエピソード2なら、この「ランデブー」はエピソード1なのかもしれない(で、その20年後に作られた「男と女2」がエピソード3)。そんなことを思いながら観るともっともっと面白い。「男と女」を再見したくなった。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター
(株)ツナグ代表。(株)4th代表。独立行政法人「国際交流基金」理事。復興庁政策参与。公益社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。東京大学大学院非常勤講師。上智大学非常勤講師。
朝日広告賞審査員。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。
現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。
本名での著書に「明日の広告」「明日のコミュニケーション」(ともにアスキー新書)。「明日のプランニング」(講談社現代新書)
“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(光文社文庫)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。
花火師免許所持。
東京出身。東京在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園夙川芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao[a]satonao.com まで(←スパムメール防止のため、@を[a]にしてあります)。

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