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うまひゃひゃ名鑑




1997年の「さぬきうどんをCHAIN EATING !」2泊3日の旅以降、ボクたち家族は、4回香川に出かけた(注:1998年現在)。

もちろんさぬきうどんを食べるためだけの旅である。もう我が家のライフワークと化した感がある。

響子(3歳)もちょっと退屈すると「じゃぁおうどん行こっか?」と言う。この調子で育っていけばキミはソムリエならぬ「サヌリエ」になれるな。さぬきうどんのスペシャリストだ。

4回で、のべにして79軒を食べ歩いた。

「山越」や「谷川米穀店」なんかはもちろん、行けなかった「おか泉」も行ったし前回ハテナだった「蒲生」や「田村」「山内」「あたりや」などもおいしい時間帯に再訪した。

4回の内訳を書くと、順に1泊2日で13軒、1泊2日で16軒、1泊2日で18軒、1泊2日で17軒である。そう「2泊3日で14軒」がオコチャマに思えてくる大エスカレート大会である。


一番多いときでなんと、1日で11軒食べた。


笑え笑え! あの幸せを知らない人に笑われてもまったく気にならないのである。

驚異的だったのはやっぱり響子(当時3歳)だ。

何にも文句を言わず11軒すべて食べた。あ、もちろん小さいお椀をもらって、麺にして4~5本ずつですけどね。だけど、間を空けずにあれだけ連続して食べる3歳児っているのだろうか。うどんだけだぜ。

「しかも参ったわよねぇ、
最後の店で食べた後、高速に乗ったらもう
おなかすいてぃあぁ~! だったものねぇ」
「あれには参ったな。というか笑った」
「胃拡張になっているのかしら?」 
「胃がイカに大きくなってるか心配な気がスルメ!」
「それは、イカ口調!」



さて。
このコーナーでは「うまひゃひゃ名鑑」と題して香川のさぬきうどんの名店を極私的に紹介していこうと思う。

ボクはまだ、県内に700軒以上あると言われるさぬきうどん屋のほんの少しを回っただけだし、それもいい時間に行った店もあれば悪い時間に行った店もあるという不公平さ。それに、だいたい一杯100円とかの店をうまいうまくないで比べるのは非常に野暮な行為であることもよくわかっている。

でも、県外人であるボクが食べ歩いて感じたままをここに書き留めておくのは、これから香川に食べに行く人のいい参考になるのではないだろうか。などと言い訳しつつ、まぁ単純に言うと、おいしい店を紹介したい性分なのだな。まぁ読み流してくれたまえ。

だからここで紹介している店だってアナタがおいしく感じるとは限らない。ここで紹介されていない店がおいしくないとも限らない。実際に行って確かめてください。



■いますぐにでも食べに行きたい名店たち


「ところで優子よ、いますぐにでも食べに行きたい店、キミならどこを選ぶ?」

「いっぱいありすぎて迷うわねぇ…。まず谷川米穀店ね。あの優しさが忘れられないわ。それとおか泉。この系統は大好きなの。あぁジャンボの釜揚げも最高ね。それと善通寺の山下山内あたりやもまた行きたいわ。うん、山越ももちろん。でもまず谷川米穀店ね」

「ふーん。ボクはまず山越。それから松家鶴丸、善通寺の山下。ここらへんの強い麺をいますぐ食べたい(よだれ)。谷川米穀店宮川彦江、ここらへんはシチュエーションも最高 だ。喉に直進する麺のおか泉中村山田家の系統もはずせない。それとあたりや山内とそれに田村も再訪したらすごく良かったんだよなぁ。ジャンボさか枝穴吹やましょう田井もわりと好き。あとは木村水車に、あ、ボクたちの原点、小縣家も」

「ずるいわよ、そんなにいっぱい! だったら私だって、中西入れたいし鶴丸さか枝前場も入れたいわ。それから山田家讃岐の里宮川と、あ、田村ももう一度・・・」

収拾がつかないのである。

「うまひゃひゃ名鑑」にどの店を入れるか、という話し合いが何度ケンカまで発展したことか。なんとも絞り難いのだ。絶品のさぬきうどんが溢れているのだ、香川県には。



■これは宝探しか? 秘境の名店たち


さぬきうどんを食べる旅のもうひとつの魅力は「オリエンテーリング的宝探し」&「店の怪しさ」だ。そういった店は、そこにたどり着きそのシチュエーションに浸るだけですでにおいしい。期待と違和感と非日常感がそのおいしさを二倍にも三倍にもしてくれるのだ。

「秘境の名店? そりゃまず中村彦江でしょ。それから穴吹

「そうだな。穴吹はすごかったな。もう一回行けと言われても行けない」

中村以上よね。それと蒲生山内は基本ね」

「あのさ、海岸寺駅前の三谷。すごかったなぁ、店内にツバメが巣を作っていて」

「あれにはびびったわ。明治時代の物置みたいだったわねぇ」

「あと赤坂。赤坂はネギを切るのが包丁ではなくてハサミだったのには驚いた。客がハサミでネギをチョッキンチョッキンってするんだ」

「坂出の山下も秘境かつ怪しいわ。絶対見つからない。看板どころか店自体が見えないところにあるんだもの。それと中北を忘れてもらっちゃ困るわ。住宅街の中の秘境よ」

「そういう意味ではさ、東植田の谷川もすごいよね。それから谷川米穀店の近くのさ・・・」


・・・・・これまたきりがない。

とにかく紹介を始めよう。
しぼりにしぼって 全部で15店。そう、たった15店。選ぶのにどれだけの涙が流れたか。

「さぬきうどんをCHAIN EATING !」で紹介している店もいない店もごっちゃに紹介します。とにかく98年10月現在でボクたちがおいしいと思った店を上から15店。次点がたくさんあるんですけど…。

なお、評価の目安に「うまひゃひゃ度」「秘境度」「怪しい度」をつけてみた。参考にしてください。それからそれから、地図はわざとつけていないです。探すのも楽しみのうちだから。でもかなり詳しめには説明しています。


※以下はすべて1998年当時のデータです。
ここに付け足すとしたら「うどんバカ一代」「一福」かなぁ(2010年春現在)





■山越
綾歌郡綾上町羽床上602-6/087-878-0420/9~14/日休
うまひゃひゃ度★★★★★ 秘境度★★★☆☆ 怪しい度★★★☆☆

 

有名になりすぎかも。

「駐車場のところに整理の人が出ている」「11時半くらいに行ったら長蛇の列で食べる気を失い帰ってきた」「連休に行ったら200人並んでいた」などメールをいただいた。

田舎のあの小さな製麺所に整理の人? うーん・・・

あれから4回行っているが、期待は裏切られていない。
もう発狂的にうまい。
ただ、ここまで人気になるといつしか「はがくれ」のように味が落ちてしまうかもしれないのが心配だ。「山越」のさぬきうどんは国宝級なのだ。あの味が変わってしまうなんて信じたくもない。ここでこうやってベタ褒めしてしまうとまたお客が増えて味が・・・とビクビクものだ。味が変わらぬうちになるべく早く行け!(と急かすとまた客が増えて・・・)

メニューは冷たいのと熱いのを中心に、釜揚げもある。
ボクは冷たいのにしょうゆをたらして食べるのが好きだがここの釜揚げは優子のお気に入りだ。
「釜玉」も人気メニュー。
釜揚げした熱々の麺に生の玉子をかけて混ぜる。熱い麺とからんで黄身が半熟っぽくなり独特のうまさとなる。しょうゆをたらして食べると、これがまたあーた、うまひゃひゃなのだ! 

製麺所タイプ。プレハブの素っ気ない店舗。おばちゃんたちの活気が気持ちいいぞ。

 


まだ空いていたころの山越

活気のある内部

絶品の釜玉



■谷川米穀店
仲多度郡琴南町川東1490/0877-84-2409/11~13/第2・4日休
うまひゃひゃ度★★★★★ 秘境度★★★★★ 怪しい度★★★★★

 

明石海峡大橋が出来て関西方面からは近くなった。
渡りきってそのまま徳島市内に入り、徳島自動車道に乗って美馬インターで降りる。438号線を北上して三頭トンネルを越えしばらく行くと落合橋。その川向こうの米屋が「谷川」である。

計ってみたら神戸近郊の我が家から192キロ(注:現在筆者は東京在住)。
ぴったり3時間で着いた。この店のネックは高松方面からは遠い上に昼に2時間しか店を開けないこと。でも苦労して食べに行く甲斐はあると思うぞ。


メニューは冷たいのと熱いのが小100円。釜玉もある。カウンターでおばちゃんに申告してうどんをもらったらそこにあるネギをかけ、テーブルの上にあるしょうゆをかけて食べる。テーブルが一杯だったら外に出て川を眺めながら食べよう。
ちなみにテーブルの上にある自家製青唐はめちゃうま。うどんにちょっとつけて食べるといい。ただしちょっとだけね。いっぱいつけるとうどんの味がわからなくなる上にくちびるが腫れる。

 「アナタもともと、タラコくちびるなのよ」
 「誰が、タラっと濃くチビルんじゃ!」

製麺所タイプ。車でしか行けないが、駐車場がないので近くに路上駐車することになる。付近の方の迷惑にならないように注意。

 


昔は並ばす入れました

入り口の様子

しなやかで、きらきら



■山下 善通寺市与北町1017/0877-62-6882/10~19/火休
うまひゃひゃ度★★★★★ 秘境度★☆☆☆☆ 怪しい度★☆☆☆☆

 

「初めからセルフの店に行って大丈夫でしょうか・・・」 みたいなメールをよくいただく。

まぁ案ずるより産むが安しなのだが、確かに段取りがつかめないからセルフのプロみたいなおっちゃんに後ろに並ばれたりするとびびるし、怪しい構えの店だと扉を開けて入るのすら勇気がいる。だってひとんちに入っていくような感じのところ、多いんだもん。

さぬきうどんツアーをするにしても最初から製麺所というのはちょっと勇気がいりすぎる、というような方にはこの善通寺の「山下」を薦めることにしている。

一般店だから、ということもあるが、なによりうまい。麺に力があって本州とかで食べているうどんとは別物であることがひと口でわかるのだ。オススメはぶっかけ。冬は釜揚げもいいかもしれない。この店の欠点はただふたつ。店構えがまずそう & 店内がきちゃない。

金比羅さんからわりあい近いから(7~8キロ)タクシーで行ってもいい。長い時間営業しているし、打ち立てにあたる率も高い。

なお、おいしいと言われている「山下」は香川に3軒ある。
ここ善通寺の「山下」と坂出の「山下」(「蒲生」の近く。郵便局配達員休憩所として有名。ここのはやさしいうどん。秘境度も高い。大きな釜で優しいおばちゃんが茹でてくれる)、そして国分寺の国道沿いにある「山下」(坂出の山下の親戚がやっているとか)。


ドライブインのような外観

さて、脳天直撃うどんを…

ゴチッと歯に来る!



■松家 高松市藤塚町3-15-6/087-834-9934/10.30~15/日祝休
うまひゃひゃ度★★★★★ 秘境度★★☆☆☆ 怪しい度★★☆☆☆

 

手打ちうどんを標榜するところでも練る工程や足踏みの工程、切る工程に機械を使っている所は多い(「手打ち」とはめん棒でトントン延ばすことを指すから、練りなどで機械を使っても「手打ち」で間違いではない)。

ここ「松家(まつかと読む)」は機械を一切使っていないという。
機械を使わずすべて手で作業をすると茹でる時間も短く済むというのだ(理由はよくわからん)。まぁ昔ながらの製法、ということですね。


また、他の店にはないパターンであるが、ここは太い麺と細い麺を選ぶことができる。
入口入って左側が製麺所。
すぐカウンターがあっておばあちゃんが「太いの?細いの?何玉?」と聞いてくる。その場で迷っていると交通渋滞を起こすからちゃんと決めてからのれんをくぐろう。

はっきり言ってオススメは「太いの」である。
強いさぬきうどん、ここにあり!
口内暴力しまくるぞ。打ち立てにあたれば間違いなく泣けます、うますぎて。

場所は高松からJR高徳線で3つ目、栗林駅を北側に出て最初の信号を右に曲がってすぐのところ。
出張や旅行できたけど車がない、なんて人には福音のような店である。ぜひとも午前中のいい時間に行ってください。

 


素朴な店構え

左が太いの。右が細いの。

口内暴力の嵐!



■鶴丸 高松市古馬場町9-34/087-821-3780/19~29/日祝休
うまひゃひゃ度★★★★★ 秘境度☆☆☆☆☆ 怪しい度☆☆☆☆☆

 

店に入って厨房を見たら作り置きの麺がせいろに並べてあった。

「あー、作り置きかぁ」とがっかりしていたら、それをビニール袋に入れてどこかにしまいだした。で、新たに麺を打ち始めたのである。
この店は作って30分以上たった麺は捨てる、という情報は本当だったのだ!


打ち立てだったせいもあるかもしれない。でも、それにしても、プロレスラーみたいな体格の親父が打つ麺は衝撃的だった。
固くてツルツルでモチモチで噛み切れない。
歯にゴチッと来るうえにめちゃくちゃモチモチで粘りまくるのだ。そして表面が滑らかだから口中マッサージも抜群で・・・これはボクの理想に近いうどんかもしれない。


高松の繁華街にある一般店だ。琴電瓦町駅のロータリーからフェリー通りを右へ300メートルも行ったら左側にある。
営業時間を見てほしい。そう、深夜型だ。これは高松で泊まっている方、出張に来られた方のためにあるような店である。

「飲んだあとにうどんを一杯!」
「一杯じゃなくていっぱいでしょ、アナタの場合」

高松の繁華街には「讃岐家」「五右衛門」「かな泉本店」「うどん棒」「さぬき麺業」など夜間営業の店が多数あるが、ボクはダントツでここ「鶴丸」を推す。ボク好みの麺なのだ。

 


夜のみの営業

釜揚げもなかなか

ゴチッかつモチモチ



■ジャンボ
綾歌郡国分寺町国分348-3/087-874-4835/8.30~17/日休
うまひゃひゃ度★★★★★ 秘境度★★☆☆☆ 怪しい度★★☆☆☆

 

ジャンボという店は「川島ジャンボ」など県内にいくつかあるようである。

チェーン店ではないらしいが、区別するためにここを「国分寺ジャンボ」と呼ぼう。
ただし、釜揚げうどんのだしを入れる瓶に「川島ジャンボ」と書いてあったから、関係はあるようだな。


高松市内からなら観光通り(県道33号線)を西へまっすぐだ。10キロほど西に行くと、右側にある。おいしそうな店構えでは全然ないが、すごいうどんを出すのだ。

ここの釜揚げうどんが忘れられない。
朝9時半に行ったのだが、実にうまい釜揚げが食べられた。釜揚げうどんのくせに麺が直線的なのだ。立っている。表面が滑らかなのに異様に力強い。なんじゃこりゃ!である。だしもなかなかだし、こりゃ「長田」を凌ぐかも・・・この「うまひゃひゃ名鑑」に「長田」が入っていないのは、ひとえに「国分寺ジャンボ」のせいなのである。

ジャンボという店名は釜揚げの「ジャンボ」というメニューから来ているようだ。
いわゆる特大。三玉入ってジャンボ。

高校時代ボクは駒場東大前の「川上」というかき氷屋で3Lというかき氷を毎夏食っていた。
これがまた洗面器に入っている超てんこ盛り。目の奥がキーンと痛くなる3Lのかき氷・・・そんなことをふと思い出した。

一般店。ちなみに写真は小。小で300円。

 


釜揚げが売り

瓶には川島うどんの名が…

これが絶品の釜揚げうどん



■宮川 善通寺市中村町1-1-20/0877-62-1229/7~18/日休
うまひゃひゃ度★★★★★ 秘境度★★☆☆☆ 怪しい度★★★☆☆

 

サイトでこの店をベタ褒めしたら知り合いがさっそく神戸から食べに行った。

感想は「いまいち」。時間を聞いたら午後2時に行ったという。
そうか、ここまでうまい店でもやっぱり悪い時間に行ったらまずいんだなぁ・・・製麺所では「おいしい時間帯」に食べないとダメだという認識を新たにしたのである。
ちなみにボクたちが行ったのは12時ジャストである。


ここは典型的製麺所セルフ。
店入って左奥まで進むと丼があるからそれを手に持ちオジサンに「ひと玉」とか言う。
うどんをもらい、温かいのをほしい人は自分で湯がき、鍋からだしを入れる。冷たいのはそのまま。そしてオプションに天麩羅などをとって右手にある客席に行くのだ。ちなみに小が120円。お金は食べた後に自己申告する。

ボクはこの店の佇まいを愛している。
古い製麺所で生活感があり、香川の日常が感じられる。しかもうどんがめっちゃうま。コシッコシでツルッツル。麺は直線的でシュッとしており、口の中に快感をふりまくのだ。質感があるのに重すぎない。固くて強いのに軽快なのだ。いやーうまい!

「やっぱり製麺所はご善通だな」
「・・・ひょっとして午前中と善通寺をかけた?」

国立善通寺病院の裏手。東隣の道を北上すると右側にある。

 


うどん屋というより工場

お昼のラッシュ

固くて強いのに、軽快!



■おか泉 綾歌郡宇多津町浜八番丁129-10/0877-49-1168/11~20.30/月休
うまひゃひゃ度★★★★★ 秘境度☆☆☆☆☆ 怪しい度☆☆☆☆☆

 

「おかせん」と読む。

さぬきうどんをCHAIN EATING ! 風雲篇」で食べられなかった一般店である。あのまま食べられないままでは寝覚めが悪いので宇多津まで食べにいった。

坂出駅前からこちらに移って3階建のきれいな一軒家になった。
儲かったんだろうなぁ。
普通こういうことをすると味が落ちるものだが・・・もしこれで味が落ちたんだったら前はいったいどんな味をしていたのかと愕然とするようなうどんに出会ってしまったのだ。


うまいぞー、おか泉。『恐るべき』で芸術品と称しているのが理解できる。
ボクはここのさぬきうどんを食べてまた「さぬきうどんの多様性」に打たれてしまった。
他の店には見られないタイプのさぬきうどんを出すのだ。「中村」のチュルリラ麺の延長線上にして完成形。「中村」に比べて洗練されすぎているが、まぁ文句なしにうまい。この噛み心地の良さ・・・絶品である。
でもこうなると噛むよりも喉で食べたほうがうまいかもしれない。


なお、「冷天おろし」という大根おろしと天麩羅が乗っている冷たいうどんが名物であるが、麺のうまさを味わおうとするとちょっと天麩羅の油が邪魔になる。

シンプルにしょうゆうどんを食べた方が麺自体は味わえると思うぞ。

 


引越して豪華な造りに

冷天おろし!



■山田家
木田群牟礼町3186/0878-45-6522//10~20/無休
うまひゃひゃ度★★★★★ 秘境度★★☆☆☆ 怪しい度☆☆☆☆☆

 

正確には「うどん本陣山田家」という。

一般店かつ有名店である。
1995年ボクが個人サイトを始めた頃、当時店舗サイトなど日本にほとんどなかったのだが、ここ「山田家」のサイトはすでに存在していた。そういう意味で「ネット創世記の同志」的親近感を、ボクは一方的に持っていたりする。


どちらかというと観光客相手と言ってもいいような立派な店構えだし座敷も広い。
日本庭園も美しく整備されている。全体的に高級感がありすぎて製麺所巡りになれた身には落ち着かないことはなはだしい。

が、驚異的なうどんに出会えた。
「おか泉」と同じタイプであると思われるが、とにかく「喉に直進するうどん」なのだ。そのあまりの弾力が歯で噛むことを拒否し、はずむように喉に向って突っ走る。 韓国の冷麺につるっつるの舌触りを与えたらこうなるかもしれない。ところてんに常識外れのコシを与えたらこうなるかもしれない。とにかくグニーンのブニューンのチュルリラ~なのである(わかるか!)。

「おいしいさぬきうどんは食べたいけどぉ、製麺所みたいなむさいところはちょっとぉ」というようなバカカスギャルを連れていくのにもちょうど良い(そんなやつ連れるな)。
立派、きれい、異様にうまい。比較的近くに有名な「わら家」があるが、そこよりここの方がうどん自体はひとレベル上だと思う。

高松市内から国道11号を東へ7、8キロ。
JR八栗駅の横を通って牟礼の交差点を右に上がる。八栗ケーブルの麓近くだ。その店構えのわりに安いのも魅力だ。ぶっかけは250円。

 


立派すぎる店構え

歯を拒否するその弾力!



■中村
綾歌郡飯山町西坂元1373-3/0878-98-4818/8.30~16.30
うまひゃひゃ度★★★★★ 秘境度★★★★★ 怪しい度★★★★★

 

さぬきうどんの製麺所がどんな風に秘境なのか、これの一番わかりやすい例が「中村」であろう。
しかもめちゃうまい。だからやっぱり「中村」ははずせないのである。


さとなお家ではこの「中村」を基本型として「おか泉」「山田家」「明」を同系統と位置づけている。
喉越しチュルリラの快感うどんだ。歯ごたえと麺の強さはそこにはないが、柔軟かつ粘りがあり、喉が極楽においしいのだ。

ネギを客が取ってくる店、として有名になり、その圧倒的シチュエーションと味で、いまや一番有名と言ってもいいかもしれない「中村」。いつ行ってもたぶん大行列である。

 

でも、くじけずに並んで欲しい。
この店で食べないと「さぬきまでうどんツアーしに来た甲斐がない」と思われるほどのシチュエーションと味なのである。
いまではここ飯山の「中村」以外にも親戚筋がやっている店が数店ある。味の系列などはまだ未確認。

 


この風情はいつまで?

まだ並ばずに入れた頃

外に持ち出して食べる



■山内
仲多度郡仲南町十郷大口1010/0877-77-2916/9~17/木休
うまひゃひゃ度★★★★★ 秘境度★★★★★ 怪しい度★★★★★

 

「さぬきうどんをCHAIN EATING !」ではそんなに褒めて書いてはいないのだが、再訪して驚いた。めちゃくちゃうまかったのである。ベスト15に迷わず入れちゃうくらいうまかったのである。

「ホント、意外なほどおいしかったわねぇ」
「噛みごたえと粘りと香りの高さ。いや、完璧だった」

 前回は「さぬきうどんをCHAIN EATING !」にも書いたように12時15分くらいに訪れている。2回目は11時半に食べた。両方とも時間的には最高の時間である。ではなぜこんなに違ったのか・・・

 ムラがある、ということもあるかもしれない。が、単純に言って2回目は「ちょうど打ち立て・茹で立て」の時に訪れたのであろう。うーん、いい時間帯に行ってもタイミングによっては作り置きの麺なのだなぁ。ほとんど賭けだな、製麺所ツアーは。

 ボクたちは「蒲生」「田村」「あたりや」など、「さぬきうどんをCHAIN EATING !」でイマイチだった店はすべて再訪してみた。以下に「田村」「あたりや」は出てくる。つまり印象を覆すくらいおいしかったのだ。

「蒲生」もいい時間に再訪したのだが、ベスト15に入れるほどではなかった。
でも「蒲生は山越に勝つくらいうまいです」というメールもいただいているから、いい時間でも打ち立てではなかったのかもしれない。

難しいもんだ。再々訪してみよっと。

 


秘境だった頃の山内

厨房も秘境風

やっぱり宮武とかとよく似てる



■田村
綾歌郡綾南町陶1090-3/087-876-0922/9.30~17/日休
うまひゃひゃ度★★★★☆ 秘境度★★★☆☆ 怪しい度★★★★☆

 

ここも再訪して印象が変わった店。
というか前回悪い時間すぎたのだ。店のせいではない。

再訪時は10時55分というこれまた最高に近い時間。
なんと店の前の看板が大きくなっている上にのぼりまで出ていた。はやっているらしい。これも『恐るべき』効果であろう。

麺は黄色味を帯びており、太い。歯ごたえは相変わらずのゴチッだ。歯が侵入していくと麺が歯に抱きついてくる。思いがけない麺の優しさに歯が相好を崩す・・・そう、強いのに優しいうどんなのだ。で、じっくりと噛みこんでいくと薄皮一枚で見事に粘りよる。うーん、こりゃすごい。

「メリハリがあっておいしかったわね」
「歯ごたえがメリで抱きつきがハリか?」
「そう、歯ごたえはメリって感じだったでしょ。歯が入っていく感 じがメリメリって」
「じゃあ、ハリは?」
「ハリは粘りよ。ねバリってくらいだから」
「・・・」

ちなみにここのオジサンはいっつも笑顔。この人に会いに、また行きたくなる。


バスの待合室としか思えん…

内部はこんな感じ

歯ごたえ、ゴチッ!



■あたりや
高松市上天神町507-1/0878-66-5356/9~16/火休
うまひゃひゃ度★★★★☆ 秘境度★★☆☆☆ 怪しい度★☆☆☆☆

 

「さぬきうどんをCHAIN EATING !」では「まぶたが重い麺」と書いた。

でもこの店人気があるらしくメールで「あたりやは絶対うまい。是非再訪してください」というのがたくさん来たのだ。しょうがないから(イヤなんかい!)再訪したが、行ったのは14時半という最悪の時間。
いや「あたりや」をなめているわけではないのよ。
スケジュールの都合がどうしてもつかなくてね・・・でもそれが逆に功を奏したのである。


ボクたちが店に入ったら、暇そうにしていた店主が「20分ほど待てますか?」と聞いてきた。
なんといまから打つというのだ。

やたーーー! 14時半に打ち立て! あたりやの打ち立て!

で、20分待った出来たてうどんがこれがまためちゃくちゃうまひゃひゃだったのだ! 
重くて固くて男性的な麺。硬派なのだ。どっしりかまえたジャン・ギャバンのようなうどんである(そういえば彼は「まぶたが重い」なぁ)。

残念なのはだしがイマイチ。
でも、やっぱり出来たてはうまいなぁ。お金があるなら「よっしゃ! 作り置きのうどん、全部買うたるから今から新しいの打ってくれい」というバブルの化石みたいな暴力をしたくなってしまうよ、まったく。

 


暖簾に的と矢

あたりやの打ち立て!

強く、重く、しなやか



■さか枝(さかえだ)
高松市番町5-2-23/087-834-6291/8.30~17.30/日祝第2土休
うまひゃひゃ度★★★★☆ 秘境度★☆☆☆☆ 怪しい度★★☆☆☆

 

「くぅー、元山さんに大嫉妬だぁ!」
「まったくなんて幸せ者なのかしら! ぷんすか!」

店を出たボク達夫婦はさかんに毒づいていたのである。
元山さんにである。
「さか枝」のまん前に住んでいる見も知らない人である。お会いしたこともない。

「うらやましすぎる~~~!」

そう、あのうどんを徒歩3秒で毎日食べられるのがうらやましすぎるのだ。
歯ごたえ、粘り、押し戻し・・・どこかが特に傑出しているというわけでもない。どれも適度。だが全体力が素晴らしいのだ。こりゃ飽きない。直線的でシュッとしていてピンと活きがいいうどんなのだ。

この「さか枝」、セルフの形態がとてもよくわかるということで観光ガイドブックにも載っている。
確かにそのベルトコンベア具合が初心者にもわかりやすいと思う。食堂風だし。けどそれだけではないぞ。日常うどんとして出色のうまさだ。

高松の繁華街のちょい西。県立中央病院の真裏にある。県庁の西裏だ。JR栗林公園北口駅からも500メートルくらいだから歩けないこともない。


昼時、近所の自転車で埋まる

ベルトコンベアー式セルフ

素朴にうまい、生活うどん



■彦江
坂出市横津町3-6-27/0877-46-3562/8.30~17/第1・3日休
うまひゃひゃ度★★★★☆ 秘境度★★★★☆ 怪しい度★★★★☆

 

やっぱりここは外せないのである。
ボクの気持ちの中で非常に「再訪したい度」が高い店なのだ。
で、実際にも再訪している。やっぱりうまい。やさしくて懐の深い麺だ。


2回目の訪問時は10時すぎという早い時間。客はボクたちだけ。あのお昼時の混雑が想像できないくらいガランとしていて「近所のひと以外めったに来ない」というシチュエーションを証明しているようだ。だってこの時間に「山越」に行ったらもう行列できてるぞ。

おかげでゆっくりおばちゃんと話が出来た上に(とはいえうどんのことではなく世間話だが)茹で立てをいただくことが出来た。
奥では次々と新しい麺を打っている。あんな細い体で大丈夫か、というようなおばちゃんがせっせと麺を打っている。店内に小麦粉の香りが広がり、トントンという音だけがのどかに響く・・・なんだか贅沢な時間だった。またボクの中で彦江の株が上がってしまった。

「ちょっと、ひこえいき、じゃない?」
「それをいうなら、えこひいき!」

一店くらいえこひいきな店があってもいいだろう。
さぬきうどんを遠く思うとき、ボクが脳裏に思い浮かべるのは彦江のおばちゃんがせっせこ麺を打つ姿だったりするのである。

 


看板も暖簾も表札もない

ただひたすらに、麺を打つ

美しくも、うまい麺



◆次点な名店たち


この「うまひゃひゃ名鑑」に 、実は「小縣家」も入れたかった。
再訪したけど最初の印象が変わらないくらいうまかったのだ。グゥーンと伸びるくせに歯ごたえは抜群。香りも高い。けどまぁ「さぬきうどんをCHAIN EATING !」であれだけ書いているからいいよね。

本編に出てきた店で、上記で紹介しなかったところは全部次点。
ここではそれらをはぶいて「ここも載せたかったんだよー!」という店を書くことにする。住所なんかは「さぬきうどん店リスト」を見てください。

 

  • 「穴吹」

      歯ごたえはあまりないが押し戻しが強烈。うまい。でも大秘境だ。見つからない。ボクたちは一時間迷った。もう一度行けと言われても行けない。でもうまいから行きたい。

  • 「水車」

      農林26号という国産小麦粉にこだわっている。海外産を使う店が多い中、貴重だ。香りの高さにビックリするはず。ちょっと灰色でツブツブがあり(フスマか)味もある。

  • 「讃岐の里」

      店名がまずそうだけど実際には激うま。「鶴丸」を少し女性的にした感じ。ぐぐっと踏みこたえるその麺はしなやかな筋肉を想像させるぞ。しょうゆを是非。

  • 「やましょう」

      だしが4種類用意されていてブレンドも出来る。歯にごちっとくる麺は重量級かつ軽快。なんかね、心意気というか勢いというかを感じる麺です。

  • 「木村」

      ラッシュでない時間帯がないというくらい流行っている。麺は噛みきる瞬間のプツップツが気持ちいい。だしはテーブルの上の急須。ヤカンに入っているのは麦茶だから注意。

  • 「田井」

      太いけどやさしい麺。「彦江」タイプ。シチュエーションも大変いい。ふるーい店内で茹で上がるのを待っていると昭和初期にタイムスリップしたような感慨に襲われる。

  • 「三谷」 (閉店)

      まるで明治時代の物置のような店内。絶対うどん屋とは思わない。店内だけで比較したら中村も蒲生もここにはかなわない。うどんは茹で込みが食べられる。釜揚げのあたたかい麺にしょうゆをかける食べ方だ。太めでやさしい生活うどん。もちろん立ち食い。

  • 「中西」

      セルフの名店。ボクはさぬきうどんの味の基準としてここの味を記憶している。つまりここを基準にうまいまずいの判断をしているのだ。標準的で安心できる味。

  • 「竹清」

      「ちくせい」と読む。天麩羅がうまい。では麺はそうでもないかというとそうでもあるのである。回転がいいせいか茹で立てに当たる率が高いのもいい。そのうどんは安心できる日常のうどん。普通といえば普通なのだがなぜかリピートしたくなる味だ。

  • 「中野うどん学校」

      最後にここも紹介しておこう。さぬきうどんの講義をしてくれ、かつ自分で打ったうどんをその場で食べられる。もちろん寝かす時間がないから料理番組のように途中をはしょるのだけど。さぬきうどんの形態はひとつではないからここの教えが完全とは言えないが、いろんな部分で目からウロコだ。要予約。ちなみに講義時間は40分程度(一式1500円).それにしても陸軍出身の方がやっているような店名だねぇ。

 

他にも紹介したい店がいろいろあるのだが、よだれをのんでここらにしておこう。
ああ、再訪したい店ばっかり!


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