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「沖縄を味わい尽くす10冊」

(JTB「旅」2000年7月号より)

 沖縄料理の魅力はいろいろあるが、その最たるものは「オトナの味」ということかもしれない。苦いとか渋いとか臭いとか、そういう強烈な味わいがきっちり残っているという意味でオトナなのだ。例えば、いまの日本に「苦うまい!」って言える料理がどれだけある? ほとんどない。いつの頃からか日本の食事は全体にマイルドになってしまった。オコチャマでも食べられる淡い味ばかりはびこり、味同士が闘い合うような輪郭のはっきりした料理にはなかなかお目にかかれないのである。

 素材が味を失ったと言うこともあるだろう。でも、小料理屋でもレストランでもそういう「食べにくい味」をわざと避けて通っている気がしてならない。そんなことをやっていると「一億総オコチャマ舌」になってしまうぞ。それでいいのか?日本よ!

 沖縄ももちろん日本だ。でも琉球王国から脈々と受け継がれてきたものだから、和食とは別に考えて良いだろう。それにしても、沖縄の食がこんなに強烈で奥深くうまいものとは実はボクも数年前まで知らなかったのである。で、知って、驚きまくって、食べまくった。その記録は『胃袋で感じた沖縄』(さとなお著/コスモの本)という本に書いた。県外人による沖縄料理初体験記である。沖縄の食に興味がある方はぜひ読んでほしい。と、まず宣伝から入ったが、とりあえずあと9冊、沖縄料理のすばらしさを語る本を紹介してみようと思う。

 まず、ボクが沖縄で一番うまいと思っている店「琉球料理乃山本彩香」の山本彩香さんが書いている沖縄料理の解説書『てぃーあんだ』(山本彩香著/沖縄タイムス社)。これは永久保存版的名作であろう。沖縄の食のカタチが洗練された文章で書き込まれていて、レシピもくわしく、そして写真も美しい。あー、見ているだけで涎がズズズ、だ。

 食の歴史と言ったらこの本もはずせない。『聞き書 沖縄の食事』(農文協)。ちょっと研究書っぽいけど、昔の沖縄家庭料理の姿が浮き彫りにされてくる。現代の沖縄家庭料理を研究し作ってみるならその名も『これからの沖縄家庭料理』(友利和子/那覇出版社)がくわしいぞ。要所要所にはさまれたコラムも説得力抜群である。

 いやーいきなりそんなマニアックな本を言われてもって方もいらっしゃいますよね。はい。上記の本は確かにちょっとディープすぎるかもしれない。もうちょっと一般的なところもご紹介しよう。まずは『沖縄いろいろ事典』(ナイチャーズ編/新潮社)。これは沖縄の食に限らない一般的な事典ではあるが読み物としても良くできた名作だ。執筆陣もバラエティに富んでいる。『好きになっちゃった沖縄』(下川裕治責任編集/双葉社)もコラム形式で広く深く沖縄を探っていて楽しいぞ。『シマのごちそう南遊記』(尾竹俊亮/ボーダーインク)は、紀行エッセイだが、著者の本音が読めてかなりうれしい。こういう旅もいいなぁとあこがれること必定である。

 沖縄でがんばっている出版社、ボーダーインクの本では『うちあたいの日々』(新城和博著)『私の好きなすばやー物語』『私の好きな もっと食べたい すばやー物語』(すばドゥシの会編)がどれも素晴らしい。特にすばブーム(沖縄では沖縄そばを「すば」と呼ぶ)の先駆け『私の好きなすばやー物語』は手作り感溢れる労作。その素朴な味わいがまるですばのようである。

 あー、しかしこのコラムを書くためにいろんな本を思わず読み直してしまい「沖縄病」が再発してしまった。担当編集者さんはどう責任をとってくれるというのだろう。あー行きたい。行って食べたい。オコチャマ舌がはびこる我が日本に洗礼を与えてくれる、あの強烈にして豪快な味たち…。いまから初体験する方がいたら幸いである。人生にまだあのインパクトが残されているのだから。ね。

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