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大人の神戸「おいしすぎるぞ、神戸!」

【上質・神戸ガイド「大人の神戸」(阪急電鉄コミュニケーション事業部:2000年4月発売)より 】

 東京から神戸近辺に移り住んで早や15年。遠く東京から見ていた神戸は活気に溢れ進取の気性に富んだ港町。うーん、一度は住んでみたいぞ、な憧れの街であった。で、実際に住んでみてもその印象は裏切られなかった。適度に都会で洒落た店も多く、大阪にも京都にも便が良く、そのうえ山あり川あり海ありのこの自然環境…そう、たぶん住環境としては日本一。そして実は食環境についても日本トップクラスの幸福なお土地柄なのである。

 いや何がって、もちろん飲食店の多さもスゴイのだが、ジャンルごとに棲み分けがはっきりしていてそれがきっちり競いあっているのが客にとって幸福なのだ。阪神間はフレンチ、イタリアン、ケーキ屋、パン屋など、文字通りバタ臭い文化がこれでもかと密集し競いあっているし、三宮周辺は中華街の中華を始め、神戸牛のステーキ、古くからの洋食屋、港町特有の各国料理と、狭い地域によくもこれだけ詰め込んだものだ的充実度で争いあっている。そして明石方面は明石港からの魚たちをネタとする和食屋や寿司屋がゴリゴリ勝負をしている。なぜ、どうして「ここらへんは同業者で混んでいるからちょっと離れて」とか思わないのだ? 競い合うのが好きなお土地柄なのか? 勝負勝負で日が暮れる住民ばっかり住んでいるのか?

 ボクは「ジバラン」という自腹覆面レストランガイドを主宰している関係で、東京・大阪を中心に全国のレストランによく出かけるが、これだけ地域ごとに棲み分けされているところを他に知らない。同業が同じ地域で争うのは、競争を生みレベルが上がる一方、少ないパイを取り合って結局「常連相手の保守的な味」ばかりがはびこる場合もある。神戸はたぶんその両方だ。でも客としては願ってもないことなのだ。競争が生んだ新しい味、常連相手の昔ながらの味、の両方を楽しめるのである。うーん、なんとオイシーお土地柄。おいしすぎるぞ、神戸!


さとなお…ジバラン審査団団長
ジバラン:www.jibaran.com
個人ページ:www.satonao.com

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