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「異形の者」

amazonいわば戦国ハードボイルド。
長篠の合戦で細川忠興子飼いの忍び・丹波に拾われた赤子が主人公だが、生まれながらに異形で「こぶ」と呼ばれ、物を言うことを禁じられる。そしてこの「こぶ」、生まれながらに忍びの才能を発揮するのだが…。
豊臣の世から徳川の世へ移り進む時代を背景に、こぶの忍びとしての成長と、丹波・細川幽齋・細川忠興・細川ガラシャの生き様が見事な明暗を持って絡んでいく。
ちょっと文章が歌いすぎている部分はあるし、こぶの心を描かずに物語が進んでいる分カタルシスに欠ける部分はあるが、ストーリーも細部の描写も時代の描き方もとてもしっかりしていて素晴らしい。飽きずに最後まで一気読み。ラスト近くの意外な展開も、後味が悪く唖然とさせられるが逆にリアリティは増している。ラストのどんでんは逆に愉快。いろんなバランスを上手に取った、良くできた歴史小説である。
全体にリアリティが抜群な分、忍びの技のリアリティのなさが目立ってしまうのはご愛敬か。
忍びにまでリアリティ持たせてくれたらもっと面白かった気はする。でも忍びがリアリティ持ってもなぁ。ま、いずれにせよ、久しぶりに歴史空間を堪能できた。おすすめ。
2002年03月01日(金) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:歴史小説
@satonao310