「神童」

amazon戦後の廃墟から生まれた一人の天才バイオリニスト渡辺茂夫の、実際にあった物語を丹念に描いている。
「二十世紀のモーツァルト」とまで呼ばれた彼が7歳で初リサイタルを開き、あのハイフェッツに認められジュリアードに留学……筋を追うのは本意ではないが、著者が取り上げなければ一生知らなかったであろうこの少年の物語は感動的だ。
文章から立ち上がってくるバイオリンの旋律も実に魅力的で、読み終わってすぐバイオリン協奏曲を聞きたくなること請け合い。それも渡辺茂夫のをどうしても手に入れたいと思わせるのは著者の冷静な筆致と効果的な引用が功を奏しているからだ。でも手には入らない。その理由はこの本を読めばわかります。もひとつ渡辺茂夫の体臭みたいなものが書き込み不足で匂ってこないのを差し引いても、三ツ星。
※その後渡辺茂夫演奏はCDとして発売された。
1996年07月01日(月) 12:00:00・リンク用URL
@satonao310