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LV1「完本 文語文」

山本夏彦著/文藝春秋/1524円

完本 文語文
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夏彦節は気持ちいいが、くどい。彼の読者なら「またこの話題かよ」というネタが山ほどここには出てくる。それを楽しむ度量を持っているつもりではあるが、ネタを広げることによって論点がずれていくのはどうにも心地が悪いものだ。

文語文という格好の主題をもって書かれたこの本をボクはかなりの期待を持って読んだ。実際、文語文の美しさやリズムをこれによって見直された。音読を前提とする文語文の美しさが失われたことは、日本の精神構造自体にもかなりの影響を与えたであろう。その辺りを(ネタをへらへら広げずに)著者はもっともっと突っ込んで書いて欲しい。ちゃんと労作にしてほしい。これでは単なる「老人の感想文」である。

ま、あとがきに「例によって調べて書くことは学者諸君にまかせて」とあるように実感的感想文であることは著者も承知の上だし、文語についていろんなところに書いたエッセイを寄せ集めたものだから求心力を失うのも仕方がない。が、文語についていま読者を共感させつつきっちり書ける数少ない書き手なのだから、(寄せ集めではない)きっちり腰を据えた読み物にしてもらいたかった。いろいろ勉強になる部分は多かったが、ちょっと中途半端に感じた一冊。

2000年06月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:評論

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