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「落花流水」

amazon「恋愛中毒」が面白かったから、次作もさっそく手に取った。一部でまたしても激賞されているらしいが、うーん、これはいまひとつ面白くなかったな。
1967年から10年ごとに7章、つまり2027年まである女性の生涯を追った物語で、章ごとに人称が変わり視点も変わる構成は非常に新鮮で面白い。
ただ、大長編ならいざ知らず、250ページ程度の本でそれをすると主人公の人格につながりが見えてこなくなり、なんだか不可解な思いのまま最終ページに行き着くことになる。それがつらい。例えばスポイルされた少女という設定で始まる第一章の記述で少女をそれなりに理解しようとした読者は2章以下の彼女の行動・性格に違和感を感じる。その間の飛び方は実生活では当然なのだが、中編小説ではなんというか読書感情に破綻を来すような気がするのだ。あ、それと、2027年とかの描写は「実際はもうちょっと違った世界になっていると思うな」みたいなSF的視点が読者に芽生えてしまうのもつらいな。
著者は相変わらず文章がうまいが、最後までカタルシスが感じられなかったし全体に散漫な印象を持った一冊。着眼点はとてもいいと思うのだけど。惜しい感じ。
2000年01月01日(土) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:小説(日本)
@satonao310